しかし、平壌開催へ向けた動きもあった。今月16日のシリアとの初戦は北朝鮮のホーム扱いだったが、これをシリアのホーム扱いとなる来年6月の一戦と入れ替えた。サウジアラビア・ジッダで行われた初戦で、北朝鮮は0-1と黒星発進を喫している。コロナ禍政策として、依然として外国人の受け入れを厳しく制限している北朝鮮は、年明けから鎖国措置を全面的に解除する方針だと伝えられている。これに照らし合わせれば、ホームとアウェイの順を入れ替えてシリア戦に臨んだのもうなずける。
シリア対北朝鮮の開催地変更が決まったのは、試合まで1カ月を切った段階だった。JFAとして寝耳に水だった状況に、宮本専務理事は「2国間だけで決めるのはフェアではないし、納得できない部分がある」とFIFAやAFCへ抗議したと明かしている。
棄権、はペナルティの可能性も
一部スポーツ紙で北朝鮮が第三国開催を検討と報じられたが、現時点で具体的な動きはない。男子に先駆けて、来年2月には、女子のなでしこジャパンがパリ五輪出場をかけたアジア最終予選で北朝鮮と激突する。2月24日にアウェイ、28日にはホームで対戦予定で、当然ながらアウェイ戦開催に関する情報もない。
森保ジャパンに関しては、北朝鮮とのアウェイ戦を棄権し、不戦敗となっても大勢に影響はないというファン・サポーターの声もある。しかし、日本側が正当な理由だと主張しても、FIFAやAFCに認められる保証はない。そうした状況下で棄権を強行すれば、逆に日本側にペナルティーが科されるおそれもある。
日本がシリアに快勝した同じ日に、北朝鮮はミャンマー最大の都市ヤンゴンに乗り込んだ第2戦で6-1と圧勝。グループBの2位に浮上して日本との連戦を待つ。試合日が決まっている以上は、平壌開催となった場合の渡航や入国手続きなどで関係省庁と連絡を密にして、なでしこジャパンとも情報を共有しながら準備を進めていくしかない。