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2023.11.06

インドの「クリケットチーム」が評価額300億ドルに急騰、サウジが出資検討

Getty Images

クリケットのプロリーグとして世界最大の興行規模を有する「インディアン・プレミアリーグ・クリケット(IPL)」はすばらしい投資先だといえる。フォーブスは、リーグが発足した翌年の2009年に、IPLの1チームの平均資産価値を6700万ドルとしていたが、2022年4月にその価値は10億ドル以上に高騰した。

近年は、レッドバード・キャピタルやCVCキャピタルといった米国の投資会社の資金がリーグに流入しており、昨年6月にインドの富豪ムケシュ・アンバニが経営するViacom18とディスニー傘下のStar Indiaは、合計約60億ドル(約8960億円)でIPLのストリーミング及びTV放映権を入手していた。

IPLが発足して以来、いくつかのTwenty20リーグが誕生したが、インドのプレミアリーグは依然として世界中の観客に絶大な人気を誇っている。ロイターは6月、チェンナイ・スーパーキングスがグジャラート・タイタンズを破り、5度目のIPLタイトルを獲得した試合のユニーク視聴者数が1億2000万人以上に達し、ピーク時の視聴者数が3210万人だったと報じていた。

クリケットの難点の1つは、試合時間が長い点にあったが、2003年のルール改正で導入された約3~4時間で試合が終了する短縮形のクリケットの「Twenty20(T20)」が革命をもたらした。2028年のロス五輪に128年ぶりに追加されるクリケットは今後さらに人気を高め、IPLのチームの価値もさらに急上昇する見通しだ。

ブルームバーグは11月3日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子のアドバイザーが、IPLを最大300億ドル(約4兆5000億円)の評価額で持ち株会社に移行させる計画についてインド政府関係者と話し合ったと報じたが、フォーブスはこの件をIPLチームのオーナーに確認した。IPLチームの投資家は、サウジアラビアによる大規模な投資が、来年4月のインドの国政選挙の後になると考えている。

サウジアラビアは7000億ドル規模の公共投資基金(PIF)を通じて、スポーツ界に多額の投資を行っており、その中にはPGAツアーへの出資の可能性が含まれている。PIFは、F1やプロレス団体のWWE、欧州サッカーやアフリカンフットボールリーグまで、あらゆる分野に資金を投入している。

IPLへのサウジアラビアの投資は、リーグの管理者であるインドクリケット管理委員会(BCCI)に向かい、チームはマーケティングやスポンサーシップ、スタジアムへの投資から利益を得るだろう。IPLの創設者は昨年、BCCIは古いスタジアムを取り壊し、米国のスポーツのような最新式のスタジアムから、より多くの収入を得るべきだと述べていた。

2021年、IPLは2つの拡張チームを売却し、リーグの規模を8チームから10チームに拡大した。CVCキャピタルはグジャラート・タイタンズに約7億5000万ドルを支払い、インド人の投資家のサンジブ・ゴエンカ(Sanjiv Goenka)はラクナウ・スーパー・ジャイアンツを約9億5000万ドルで購入した。

しかし、この2つの取引は、今ではかなり安い買い物だったと考えられている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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