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2023.11.27 11:45

アウェイ平壌では「0勝」、好調サッカー日本代表を待ち受ける鬼門

photo by Masashi Hara (Gettyimages)


このときは平壌で行われた別のアジア最終予選で、北朝鮮の観客が主審の判定に激怒。ピッチに物を投げ込むなど、暴徒化した事態を問題視した国際サッカー連盟(FIFA)が北朝鮮のホーム開催権をはく奪し、バンコクでの無観客試合という制裁を科した。
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ただ、ホーム扱いの試合をどのような形で開催するのかは、原則としてそれぞれのサッカー協会の判断に委ねられる。北朝鮮が平壌での開催を決めれば、国交がなく、渡航自粛措置が出されているとしても、日本としては従う以外に選択肢がないのが現状だ。

現役時代にバンコクでの北朝鮮戦を経験している、JFAの宮本恒靖専務理事が言う。

「W杯予選はホーム&アウェイで行われるとレギュレーションで決まっていて、開催地を決めるのはホームの国となっている。なので、われわれの側から何かを言うアクションはない……というかできない。まだわからないですけど、北朝鮮がホームで開催するというのならば、そのときはしっかりと準備をしていく」
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北朝鮮と国交がないどころか、朝鮮戦争の休戦状態が続いている韓国も、前回のW杯カタール大会出場をかけたアジア2次予選で同じグループになっている。

そして、19年10月には29年ぶりとなる、平壌での両国の対戦が金日成総合競技場で実現している。0-0で引き分けた一戦はテレビ中継がなしとなり、韓国のファン・サポーターだけでなく海外のメディアもいっさい排除されたなかで行われた。

しかも、異様な雰囲気に支配された一戦で目立ったのは、北朝鮮の選手によるラフプレーの数々だった。帰国した韓国の主力選手が「非常に荒れた試合だった。怪我なく無事に帰国できたことが一番大きな成果だ」とホッとしながら語ったほどだ。

そして、ラフプレーは日本へも向けられる可能性が大きい。

コロナ禍を理由に北朝鮮は20年から鎖国状態に入った。スポーツ界もそれに倣い、韓国と同グループだったアジア2次予選も途中で棄権。今年9月から10月にかけて中国・杭州で開催されたアジア競技大会で、約3年ぶりに国際大会への復帰を果たした。

そして、男子サッカーの準々決勝で日本と北朝鮮が激突した。日本が2-1で勝利した一戦で、北朝鮮は大怪我につながりかねないラフプレーで6枚のイエローカードをもらい、試合後には主審の判定に激怒して審判団を追い回す悪態もさらした。

後半に試合が一時中断した際には日本のスタッフから給水ボトルを奪い取り、その際に拳を振り上げて殴りかかろうとした選手もいた。JFAはFIFAとアジアサッカー連盟(AFC)に問題場面の映像を添えた意見書を提出し、選手の安全を守る上で必要な措置を求めた。

この意見書をもとに、北朝鮮へ何らかの制裁が科された発表は現時点でない。また、アジア2次予選のホーム戦を、平壌で開催するかどうかも現時点で何ら発表はない。
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