レオパルト2A4については、世界的に在庫が払底してきているという問題があるのはいうまでもない。ドイツ政府はこの戦車をさらに14両ウクライナに送ることをめざしているものの、修理の必要から実現は来年になる見通しとなっている。
そんななかで、Pz.87という名のレオパルト2A4、しかも状態が良好とされるもが25両、近くドイツに送られてくる運びになった。ドイツはこれらのPz.87をポーランドに売却し、ポーランドが現有のレオパルト2A4を手放しやすくするようにする考えかもしれない。ポーランドは昨年、Pz.87を購入しようとしたが、スイスに拒否されたと報じられている。
いずれにせよ複雑なスキームではあるので、Pz.87による代替を介したレオパルト2A4のウクライナへの引き渡しは実現しない可能性も残る。一方、もしウクライナが数カ月後、レオパルト2A4を新たに25両ほど取得できれば、スイスによる今回の決定が功を奏したということになるだろう。
レオパルト2A4を25両追加で取得できれば、ウクライナにとって変化をもたらし得るものになる。これらとドイツが確約している14両のレオパルト2A4を合わせれば、1個戦車大隊分に余りが出るほどの数になる。現在、ウクライナ軍でレオパルト2A4を運用する大隊は1個しかない。第33独立機械化旅団に所属するこの大隊は当初、レオパルト2A4を40両保有していたが、今は33両まで減っているようだ。
レオパルト2A4を39両取得できれば、2個目の戦車大隊に配備できるうえ、一部はこれら2個戦車大隊向けに、整備や戦闘で損失した場合の代替用として取っておくこともできるだろう。
もし三角取引のスキームが頓挫し、ウクライナがレオパルト2A4を追加取得できなくても、世の終わりというわけではない。ウクライナ軍にはまだ英国製のチャレンジャー2戦車が13〜14両、米国製のM1エイブラムス戦車は全31両残っているし、さらにドイツ、オランダ、デンマークのコンソーシアムから200両近く供与されることになっているレオパルト1戦車のうち、最初分の数十両も手元にある。これらに加え、T-72やPT-91を数百両保有している。
ウクライナには確かに戦車がもっと必要だ。とはいえ、ウクライナが最も必要としているのは戦車ではない。それは何よりも砲弾である。
(forbes.com 原文)