ライフスタイル

2023.11.03 10:00

お金と労働から自由になる「脱成長」という人生戦略

さて、次に考えるべきは仕事だ。四角はライスワークからライフワークへの移行が重要だと主張する。ライスワークは食べるための仕事、ライフワークはDeep Needsを満たす仕事。前者は苦しい労働となりがちだが、後者は『心の底から望むこと・最も大切にしたいこと』につながるため苦しい労働にはなりにくい。
 
「ほとんどの人は、ライスワークに人生が支配されています。人生100年と言われるこの時代、Deep Needsと一致しない仕事に人生の大半を奪われるのではなく、『自分の時間=自分の命」であることを忘れず、命を無駄に使わないようにしていただきたい」
 
もし今の仕事がライスワーク100%で辛い場合は、ダウンシフトを検討しよう。正社員から業務委託にステップダウンしたり、給与と社内ランクを下げた上で、業務量を減らして労働時間を短縮するという方式を、四角は推奨する。実際に彼は、会社時代に、自ら出世コースから外れたり、降格と減給を申し出て認められたこともあるという。そして、そうやって手にした自由時間と活力を、ライフワークへ「投資」しようと四角は語る。
 
もし収入が減ったとしても、四角のようなミニマル・ライフを確立すれば生活には困らず、新しいチャレンジへの時間を確保できる。そして、シリコンバレー発祥の最もミニマルな起業スタイル「リーン・スタートアップ」にならうならば、「チャンレンジの時間=チャンスの数」となる。貯畜を「ライフワークへの移行期」への投資(資本金)だと腹を括って、切り崩す選択も考えられよう。
 
一般的な起業では、事業を軌道に乗せるのに3年は必要だと言われるが、個人のライフワークへの移行期は、1〜2年が目安だという。移行期の第一歩が仮に「ライスワーク週4」からのスタートだとしても、焦らず時間をかけてバランスを変えていき、平日の5日間が「ライスワーク週2+ライフワーク週3」と逆転する時こそがターニングポイントだ。
 
「ぼくが運営するコミュニティ“LifestyleDesign.Camp”では、実際にライフワークへの移行事例がいくつもある。例えば、財閥系企業に長年勤めていた40代半ばの女性が、安泰という幻想を捨て、今では培ってきた経験に新しいスキルを掛け合わせ、AIに奪われることのない次世代ビジネスの世界で引っ張りだこになっている。彼女の移行期間は2年でした」
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