中道:スペインのトレモリーノスCFはどういう感じですか。
小野:財政難に陥っていたところを救う形で2月に入りました。多くの方がなぜ4部のクラブをという疑問を持たれたと思うんですけど、僕らとしてはアカデミークラブという位置づけです。スペインの4部や3部だと国籍制限や年齢制限がないので、多くのアジア人選手を受け入れて、ヨーロッパ仕様に鍛えることができます。それでオーナーシップを持たせてもらいました。
中道:ベルギー2部とスペイン4部からスタートして、ここからもっと大きくなっていくと思いますが、最終的にはどのような形をイメージをしていますか。
小野:今クラブとは、オーナーシップと業務提携という2通りの関わり方をしていますが、近いうちにサッカーのド本丸がほしいと考えています。南米あたりのクラブを1つ持つことができれば、グループとしてより広がりができるでしょう。オーナーシップは12月ぐらいまでにあと2つぐらい考えて動いています(※2023年7月にはイングランド3部リーグ、チャールトン・アスレティックへの資本参加を発表)。
パートナーシップは、ベトナム最大級のアカデミー組織PVFと選手育成で業務提携したり、アルビレックス新潟シンガポールと提携、日本からはFC今治と提携し岡田武史監督のメソッドを東南アジアで広ていく構想を持っています。連携するパ―トナーを増やしていき、濃淡のついた10クラブぐらいで経営の合理化とスカウト網の充実などに取り組んでいけたらいいなと思っています。
中道:業務提携やパートナーシップで日本人として海外のコミュニティに入っていく時に意識したことはありますか。
小野:説明責任を果たすことを非常に大切にしています。特に試合に勝てないなど何かしら問題が起こると、監督をどうしろとか、サポーターがいろいろ言い始めます。小さい町の小さいクラブゆえに、みんな顔が見えるし、そこで起きていることに対してみんな真剣で熱い。僕らはそういう思いにできる限り応えて、クラブの方向性やグループとしての位置づけを定期的にみなさんにきっちりお話させていただいています。そうすることで、僕らがやろうとしていることがじわじわわかってもらえているという手ごたえを感じています。
中道:理由や思いは伝えなければ理解してもらえませんから、それを大事にされているということですね。
小野:プラスの感情でもマイナスの感情でも、関心を持ってもらえて初めて人は言葉を聞いてくれます。とくに僕らは外から来た人間なので、どんな形であれ関心を持ってもらうことが大事です。ベルギーから始めようと思ったのも、公用語が英語なのでコミュニケーションが成り立つと考えてのことでした。