ビジネス

2023.09.12

サッカービジネスの旗手が、最初にベルギーのチームを買収した理由

小野寛幸 ACAフットボール・パートナーズCEO

日本の企業が世界に出るとき足りないものは何か? そのひとつがコミュニケーション、つまり伝える内容や伝え方だとしたら、どうすれば乗り越えていけるのか?

未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

Vol.51配信のゲストはACAフットボール・パートナズ CEO 小野寛幸。ACAフットボール・パートナーズのミッションは日本を含めたアジアのサッカーの可能性をより引き出すことだ。



中道:今回はACAフットボール・パートナーズのCEO、小野寛幸さんをお迎えしています。小野さんは慶応義塾大学卒業後、大和証券SMBC(現・大和証券)に入社され、MAや資本調達のアドバイザリーに従事。その後、米系の投資銀行を経て2011年にACAに入社、2013年のアジア投資本格化の際にACA Investmentへ転籍されました。そして、ACAフットボール・パートナーズを創業。まず、ACAフットボール・パートナーズについてご紹介していただけますか。

小野:ACAフットボール・パートナーズはシンガポールを拠点としたサッカー事業会社です。投資ファンドACAグループの一員として、アジアから発信するマルチクラブ・オーナーシップ(MCO)や、データによる選手獲得の効率化などを企画しています。

スポーツの潜在価値を引き出すことをミッションに、2022年にベルギープロリーグ2部のKMSKデインズを買収し、ここをコアクラブとして活動を開始し、今年2月にはスペイン4部(※買収当時、2023-24シーズンは5部所属)のトレモリーノスCFをグループに迎えることができました。

フットボールメディアとしての魅力やコンテンツの最大化をテーマとした独自の動画ストリーミングサービスPlaysiaTVの運用や、アジアの若手選手の育成にも取り組んでいます。

中道:投資ファンドの運用からどういうプロセスでフットボールの世界に至るのでしょうか。

小野:サッカーに詳しい方ではなかったのですが、ベトナムやインドネシアの企業に投資をしているとき、サッカー好きの株主とのお付き合いでチャンピオンズリーグを見に行くことがあって。その流れで7年前のミラノの、レアル・マドリードとアトレティコ・マドリードのチャンピオンズリーグの決勝を見に行きました。

ミラノは初めてで、ファッションの町というイメージだったのに、いたるところで発煙筒が焚かれ、チームのブースが開かれていて、サッカーの町になっていた。その盛り上がりを見てこんなにも熱狂するものなのかと驚き、自分のキャリアの中でオーナーになれたらいいなと思い描いたのがこの世界に入ったきっかけです。
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文=久野照美 編集=鈴木奈央

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