未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する"視点"のあるゲストとともに、考え、発信していく。
Vol.49配信のゲストはマクラーレン・オートモーティブ日本代表 正本嘉宏。サラリーマンになるつもりはなかったという正本が、自動車業界に入ったきっかけや現在に至るまでのキャリアについて聞いた。
中道:今回はマクラーレン・オートモーティブの日本代表 正本嘉宏さんをお迎えしてお届けします。正本さんは2017年8月から現職。それ以前は、フォルクスワーゲングループジャパンやフォードジャパンで、約30年間にわたって自動車業界でさまざまなご経験を持たれています。
僕はフォルクスワーゲンの時に一緒にお仕事させていただきました。長い間、自動車業界でいろいろなブランドに関わられていますが、この業界に入られたきっかけは?
正本:実は、私はサラリーマンになるつもりはまったくなかったんです。それは父を見ていたからです。父はゼネコンの海外事業部の部長として、インフラをつくる仕事をしていたのですが、ある時過労で倒れて、緊急搬送されました。
1年ほど入院して復帰したら第一線から外されて、いわゆる閑職に異動。今考えれば組織の判断としては正しいと思いますが、当時高校生だった自分は、会社というものはこういう仕打ちをするのかとすごくショックを受けました。
それで、自分は好きなことをやっていきたいと、真剣にバンド活動をしていました。ただ、音楽というものは才能やテクニックやスター性などが合わさって初めて成功するもの。そのことに大学2年生になって初めて気づいて、どうしようかなと。音楽の次を考えた時に、子どものころから好きだった車の方にいこうかなと思ったことが始まりです。
就職活動は2週間ぐらいしかしていません。受けたのも3社だけ。サラリーマンに対してうがった見方をしていたので、大企業の歯車にはなりたくないとか思っていて。会社の規模は小さくても、独創的で面白いことをやっている3社だけ選びました。そのうちの採用してくれたのがオートラマでした。
オートラマは立ち上がって数年しかたっていない会社で、マツダ製のフォードブランドを日本で展開するビジネスをしていました。世界一の流通生産性の実現とエンジョイ・カーライフの提案という、35年たった今も自動車業界が実現できていないビジョナリーなコンセプトを掲げる、スタートアップのような会社でした。これからの会社なのでいろいろなことができそうだなと思いました。