教育

2023.08.29

「日本のいいところ」を海外にピックアップされて終わらないために

EASTEAST_TOKYO 2023 撮影:相澤有紀

日本の企業が世界に出るとき足りないものは何か? そのひとつがコミュニケーション、つまり伝える内容や伝え方だとしたら、どうすれば乗り越えていけるのか?

未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

Vol 46配信は、前回に引き続きログズ株式会社代表取締役社長 武田悠太。新しいものを生み出す可能性を作りたいと話す武田は、これからはジャンルを越境することが重要になると考えている。



中道:さて、老舗衣料品問屋の4代目として生まれた武田さんは、他の問屋さんから事業譲渡の話が来たことをきっかけに、その問屋の事業改革をするという形で家業に戻られます。そこからホテル、レストラン、ギャラリー、教育と事業を展開されてきました。それで、これからどうなっていくイメージですか。

武田:それぞれの事業はまだ立ち上げて数年しかたっていないので、まずは事業を強くしていくことが大事だと思っています。これからはいろいろなクリエイターが越境する時代になってくると思うんです。僕としては、そういうクリエイターの人たちのプラットホームになることを意識しながら事業ポートフォリオを組んでいきたいです。

中道:越境というのは?

武田:ジャンルの越境です。これは日本の文化だと思うのですが、アートだったらアート業界があって、その中でさらにこういう系統という風に細分化されていきますよね。その結果、共通の価値観がお金しかなくなってしまって、日本人が持っている美意識とかコモンセンスみたいなものが無くなっているように感じます。ですから金銭的な価値以外のコモンセンスを作るためには、ジャンルの越境が重要だと思っているんです。

これまで全然接点がなかった料理人とアーティストが一緒にものを作れば、お互いの価値観がミックスして新しいものが生まれますよね。そうなればお金以上に大事な価値観が広がっていくという感覚があって。ジャンルを越境することはすごく大事なことだと思っています。
(左)中道大輔(右)武田悠太

(左)中道大輔(右)武田悠太


中道:賛同します。僕は日本人というのは越境したりミックスしたりするのが得意だと思っているんです。日本の食文化がまさにそうで、「日本食=和食」じゃありませんよね。中華もあればイタリアンもあるしフレンチだってある。みんな日本人が独自にミックスして新しいものになっていますよね。

武田:たしかに日本人はそういう越境は得意だと思いますが、コミュニティの越境はあまり得意じゃないかもしれません。コミュニティを越境するにはコミュニケーションが必要ですけど、そこが弱いのかなという気がしています。
次ページ > 物事は伝わって初めて価値になる

文=久野照美 編集=鈴木奈央

タグ:

連載

VISION TO THE FUTURE

ForbesBrandVoice

人気記事