宇宙開発が、より大きなイノベーションを生み出す
せりか:LatConnect 60°の衛星が打ち上げられれば、さらにサービスが充実していきそうですね。今後、新たに開発したいサービスやソリューションのアイデアがあれば、ぜひ聞かせてください!ヴェンカットさん:食品のサプライチェーンを追跡するサービスですね。自分が食べている物はどこから来て、どのようにして手に入れられたものなのか。食べ物のバックグラウンドには農家がいて、農家がそれを作り、収穫して、自分たち消費者が食べられるようになる。そうした一連の過程を、社会が強く意識するようになってほしいと思っています。加えて、温室効果ガスの排出が気候変動を引き起こしていることや、今の自然環境が当たり前のものではないことにも気付くべきです。
農業と環境モニタリングが浸透していけば、政府の規制当局と市民の関係性をよくしていけるのではないかと願っています。
せりか:食糧の供給や温室効果ガス排出量のより具体的な情報が手に入るようになれば、社会全体の問題意識も高まっていきそうですね。最後にヴェンカットさんが、私たち人類にとって宇宙開発が必要だと考える理由を教えてください!
ヴェンカットさん:私たちが今、地上で使っている技術の多くは、冷戦時代の宇宙開発競争で起きた技術の進歩から生まれたものです。例えば、GPSの高精度測位技術なくして、現代の生活はもはやできませんよね。ですから宇宙開発は、ただ月や火星に行くためだけのものではありません。
月や火星を目指す過程で、今後も多くの技術が開発されるでしょう。例えばSpaceXのイーロン・マスクは、月と火星の開発を目指していますが、その過程で毎月打ち上げられるロケットを生み出しました。それも再利用型のロケットで、成功させたのはおそらく世界で彼だけでしょう。
宇宙開発のロードマップを描くことで、より大きなイノベーションが起きることがわかります。それは人類にさらなるチャレンジを促していきます!
せりか:ヴェンカットさん、ありがとうございました!
せりか宇宙飛行士との対談シリーズ第22弾のゲストは、LatConnect 60°のヴェンカット・ピレイさんでした。
次回のテーマは防災、ゲストは慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科の白坂成功教授です。今後30年以内に、南海トラフ地震が70〜80%の確率で起きると算出されるなど、災害対策が求められているなか、どのような社会システムを構築していくべきなのか、白坂教授にうかがいます。お楽しみに。