このシリーズでは、ワープスペースのChief Dream Officerに就任した伊東せりか宇宙飛行士と一緒に宇宙開発の今と未来を思索していきます。
第22弾となる今回は、衛星データを利活用して農地のモニタリングや炭素排出濃度の測定を行うオーストラリアのスタートアップ、LatConnect 60°(ラット・コネクト・シクスティ)の創業者 兼 CEOのヴェンカット・ピレイさん(ヴェンカットさん)をお迎えして、同社が農業や環境分野に特化してサービスを開発しているわけや、今後の展望をうかがいました。
衛星データで、マレーシアの米自給率が85%までアップ!
せりか:ヴェンカットさん、はじめまして。オーストラリアから日本へようこそ!日本はいかがですか?ヴェンカットさん:歓迎ありがとう。よろしく、セリカ!
ヴェンカットさん:日本といえば、私は刺身が大好物なんです!マグロもサーモンも大好きです。たくさんの種類があるうちの、きっとまだ0.2%か0.3%の刺身しか食べたことがないので、残りも食べてみたいと思っていますよ。
ところで、いま私たちが提供している2つの分野のサービスのうちの1つは、「食」に関わるものです。
衛星で農地の植生指標「NDVI」(※1)をモニタリングすると、作物の生育状況や収穫に適した時期がわかります。この技術を使って、マレーシア政府向けに国内の農家のパフォーマンスを把握するためのソリューション「FMS」と、マレーシア国内の農家が農作業に使えるソリューション「AG60」を提供しています。
※1 植生指標とは、植物による光の反射の特徴を生かし、衛星データを使って簡易な計算式で植生の状況を把握することを目的として考案された指標で、植物の量や活力を表す。代表的なものとして、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指標)がある。
引用:植生指標データについて
マレーシアはお米が主食の国であるにもかかわらず、自給率は約70%。約30%は輸入している状況でした。ところがFMSとAG60を導入してからは、自給率は約85%までに向上しました!
せりか:ものすごい貢献ですね!
温室効果ガスの排出源を特定できる、高解像度の衛星データ
せりか:もう1つのサービス分野についても教えてください。ヴェンカットさん:2つ目の分野は、温室効果ガスの排出量のモニタリングです。カーボンニュートラルを目指すためには、取り組み前後の状況をモニタリングしなければなりません。石油やガス会社、火力発電所、メタンガスを排出する牛を、飼育している牧場などをターゲットにしています。
最初の衛星は、2025年後半に打ち上げる予定です。