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2023.07.06

「事件はレストランで起きる」 夫は名物校長で著名フーディー|イノベーターの妻たち

青稜中学高等学校校長青田泰明氏夫人水上彩氏。青田邸で話を聞いた(連載「イノベーターの妻たち」 撮影=曽川拓哉、サムネイルデザイン=長谷川亮輔)

「イノベーター(革新者)」と呼ばれる人たちがいる。世代の敷居を超えて未来にも影響をおよぼすコンテンツ、サービス、芸術などを生み出し続け、同時代人に行動変容を起こさせる人物たちだ。

本連載は、そんな人物たちの仕事をもっとも身近で目撃してきたパートナーたちの証言集である。時代の卓越したインフルエンサーでもあるイノベーターたちは、ベースキャンプである「家庭」で日々、いかに「イノベーションの種」を醸成しているのか。

第3回は、私立共学、青稜中学校・高等学校(以下適宜・青稜)校長 青田泰明氏夫人 水上彩氏に話を聞いた。

青田氏は、読売新聞オンライン、「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)などメディアでも取り上げられ続ける、話題の3代目校長だ。

着任は2020年春だが、校長代行時代から、新制服のデザインを「ストリートファッションのカリスマ」と言われ、「ルイヴィトン」「ブルガリ」などとコラボレーションしてきたフラグメントの藤原ヒロシ氏に依頼、またジャージのデザインは、EXILE、三代目J SOUL BROTHERSの衣装も手掛ける小川哲史氏に依頼するなどして大きな話題を集めてきた。そんなイノベーターぶりが書かれた著書『「メンズビオレ」を売る進学校のしかけ』 (青春新書インテリジェンス)も好評だ。

それだけではない。氏は、「世界のベストレストラン50」日本事務局も務めるほどのフーディー(食べることに高く洗練された関心を持ち、趣味としても食を追究する、真の食通)としても知られる存在だ。

その妻、彩氏はワインの専門家である。J.S.A認定ワインエキスパート、ワインの国際資格WSET最上位のLevel 4 Diploma保持者であり、「水上彩(旧姓)」の名で、日本ワイン専門誌ライターとして、全国のワイナリーを取材するほか、WOSA Japan(南アフリカワイン協会)のメディアマーケティング担当として、南アフリカワインのPRにも力を注ぐ。

──彩氏が打ち明けた、出会いから現在までのこと、初期の「喧嘩」から得た貴重な学び、そして妻の目から見た、イノベーター青田氏とは。


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第一印象は「異世界の人」

──青田校長との出会いについて教えていただけますか。

2014年4月、浅草橋で「ワインショップ&ダイナー FUJIMARU」のオープンイベントがありました。ワイン販売スペースが併設された、全国展開するビストロですが、ちょうど前の年にワインエキスパートの資格を取ったばかりの私も、気合を入れていそいそ馳せ参じたんです。

会場で、適当にギャザリングして紹介しあう輪にいたのが、食関係の繋がりで招待されていた夫でした。

当時35歳ぐらいだった彼の第一印象は、 働き盛りで、フレッシュでエネルギッシュで、話も面白いし、華やかな感じ。聞けば学校の経営をしているというし、この人はまあ、全然私とは関係のない、異世界の人だなと思いました。


 
私は当時NTT東日本本社オフィスで、大きなシステムの保守の仕事をしていました。ネットワークの故障などがあって連絡を受けると、各部門に情報を回して対応にあたってもらう。そのための指示出し担当といった仕事でした。でも、大企業なのでヒエラルキーが多層構造すぎて、自分のやったことの手応えがあまり感じられなかったんです。
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取材・文=石井節子 写真=曽川拓哉

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