Close RECOMMEND

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

Getty Images

大阪大学でエリート学生を釘付けにした「非常勤講師」がいる。授業は学部問わず全学生が受けることができる、共通科目の「日本国憲法」だった。朝8時50分と、アルバイトや飲み会に明け暮れる大学生にとっては早すぎる開始時間の授業だったにもかかわらずだ。2005年から始まり、10年以上続いたこの伝説の講義は、同大のベストティーチャー賞ともいえる「大阪大学共通教育賞」を4回、受賞している。

その講師を務めたのが谷口真由美氏だ。東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会元会長の森喜朗氏から、「『わきまえていない』女」とも解釈できる発言があった、日本ラグビーフットボール協会の元理事としても知られる。

谷口氏は現在、人権やハラスメント対策に注力するための協会を立ち上げる準備を進めている。「指導者」と「被指導者」の関係が必ずといっていいほどあるスポーツ界は、ハラスメントが起きやすい構造となっている。国際人権法やジェンダー法を教えてきた谷口氏はラグビー協会を去った後、改めて自らのキャリアと知識を活かした挑戦をしている。

そんなバックグラウンドを持つ谷口氏が学生たちに教えてきたこととは。今回は、学生から支持された、谷口氏による阪大の笑いあり学びありの「名物コーナー」に注目したい。

日本国憲法の前に。「DJマユミの恋愛相談」


2005年から2021年まで、非常勤講師で「日本国憲法」をテーマに教えていました。授業は金曜の1限、早朝でもできるだけ多くの学生に授業を漏れなく聴いて理解して欲しいと思ったことから、冒頭10分は、深夜のラジオのように「DJマユミの恋愛相談」というコーナーを設けていました。

以降、そのおかげか、360人の大講義室が満員になるほど、学生が集まりました。中には、過去に履修して単位を取ったにもかかわらず、冒頭の「DJマユミの恋愛相談」だけを聴きにくる学生もいました。

大阪大学は面白いことに、授業の概要が書かれた大学公式のシラバスとは別に、校内で「クロバス」というものが一つ1000円で売られています。学生たちが各授業や教授について評価をグラフにし、説明しているのです。私の授業はクロバスでは「お笑い」に満点がついていました。

文=裵麗善/Ryoseon Bae 編集=石井節子

PICK UP

あなたにおすすめ