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2023.07.06 12:30

「事件はレストランで起きる」 夫は名物校長で著名フーディー|イノベーターの妻たち

本当に迷っている時期でした。ワインが好き、というだけではワイン関係の仕事など来ない。大企業にいれば安定もしているし、続けた方がいいのかと悩み過ぎて、入社後3年目に体調を崩し、休職しました。でも、休んでいる間にワインがいよいよ楽しくなってしまい、「体を壊している場合じゃない!」と目が覚めたようになって、猛然と、ワインエキスパートの資格取得の勉強をしました。

人は、自分が夢中になれるものが見つかると、心身ともに復活するものです(笑)。 

きっかけは「10円ハゲ」!

──青田先生は当然、初対面で彩さんに一目惚れでしたよね。

どうでしょう。でも彼は、初対面での「10円ハゲ」事件をよく覚えているそうです。

ワインショップ&ダイナーフジマルでの出会いの日、お話ししたように、復職はしていたものの、私は将来のキャリアについて悩んでいました。ワインは楽しいけれど仕事にするには資格も不足、安定した仕事を続けるべきか、と。それで、ストレスのせいで今度は頭に10円ハゲができていたんです。

実は10円ハゲって、指で触るとすごく気持ちがいいんですよね。まだ産毛も生えてない赤ちゃんの肌みたいでツルツルで。自分でも当時すごく気に入って触っていて、みんなにも「触ってみて!」みたいなことを言っていたんですね。

実は、あまり覚えていないのですが、初対面の夫にも触らせたらしいんです。それで、あれ、この子相当変わっているなあ、と。それが好印象だったようです。

お話ししたように夫は眩しい感じのいわゆる若き経営者で、逆に「ちょっとうさんくさいかも」とか「こういう人には絶対もう彼女もいるだろう」とか思っていましたが、向こうから連絡があって、出会って2週間後くらいに食事に行きました。 

彼が最初のデートに選んだのは、生井祐介シェフのCHIC peut-etre (シック プテートル)というレストランでした。

当時、彼はまだ「世界のベストレストラン50」の日本事務局に入る前でしたが、すでに食の業界ではかなり有名な存在で、お店選びのセンスも抜群でした。ちなみにこの店は今は閉店して、「アジアのベストレストラン50」 13位にも選ばれた名店「Ode(オード)」になっています。

さらには2回目のデートが、ワインメーカーズディナー(ワインの生産者や輸入業者が開催する食事会)だったんです。カリフォルニアワインの作り手が招ばれていて、最高でした。彼もかなりのワイン好きでもあるので、まずは食とワインで話が合って、意気投合した感じですね。

その後は、かなりのスピード婚でした。付き合い始めてから結婚するまで1年もなかったです。

シェフとの親交がビジネスにも直結

──青田先生は経営者でありながらフーディーとしても業界では知られる存在で、「世界のベストレストラン50」の日本事務局もされていますね。

元々、 小さい頃から家族で外食をする時はホテルに行っていたそうです。でも、子ども扱いをされて悔しい思いもし、「大人になったら、こういうところで自分のお金でちゃんとしたサービスを受けながらおいしいものを食べよう」と決めていたみたいですね。
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取材・文=石井節子 写真=曽川拓哉

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