事業継承

2023.06.05

地域繁栄の裏に名家あり! 経済と文化の原動力「日本の名家50選」

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工業系 豊田家

都道府県 愛知
主な収入源 トヨタ自動車 
創業年 1918年

豊田紡織(現・トヨタ紡織)、豊田自動織機製作所(現・豊田自動織機)等を創業した豊田佐吉の息子である喜一郎らが自動車部を独立。初代社長には喜一郎の義兄の利三郎が就任。国産自動車の大衆化に貢献し、日本車ブランドを海外で確立した。2023年4月から創業家出身の章男に代わり、12代目新社長として非創業家の佐藤恒治が就任した。

商業・工業系 岡田家

都道府県 三重
主な収入源 イオン
創業年 1758年

イオンの源流のひとつである岡田屋は、1758年に三重県四日市で岡田惣左衛門が創業。「大黒柱に車をつけよ」(時代や人の変化に応じて店を移動して構えよ)等の家訓が有名。7代目・岡田卓也の姉・小嶋千鶴子は呉服屋を日用品の「ジャスコ」に変えた。卓也がジャスコの初代社長に就任以後、イオングループは大きく拡大していく。

商業・工業系 西川家

都道府県 滋賀
主な収入源 西川
創業年 1566年

西川家初代の仁右衛門が、1566年にいまの滋賀・近江八幡市で蚊帳や生活用品の行商を始めたのが始まりとされる。1587年に本店「山形屋」を構える。販路や商品を拡大し1615年、豊臣家の滅亡の年に江戸・日本橋に進出。布団販売は1887年から始めた。創業以来450年以上にわたり創業家出身の社長が就任しており、現在は15代目の八一行が務める。

商業系 弘世家

都道府県 滋賀
主な収入源 日本生命 保険相互会社 
創業年 1889年

相互扶助の事業に関心があった銀行家の弘世助三郎が鴻池善右衛門らと「有限責任日本生命保険会社」として創立。1899年には保有契約高が業界1位になりそれを現在まで維持。第3代・助太郎(助三郎の嫡男)、第4代・成瀬達(現の実兄)、第5代・現(助太郎の娘婿)と弘世家から社長に。弘世現は日本生命の「中興の祖」といわれ、日生劇場の生みの親。

工業系 大林家

都道府県 大阪
主な収入源 大林組
創業年 1892年

大阪生まれの大林芳五郎が、皇居造営に携わる修業ののち土木建築請負業「大林店」として創業。草創期の1903年には、大阪で開催された第5回内国勧業博覧会の会場に、木造建築物で初めてエレベーターを備えた「大林高塔」を建設した。1914年には東京駅が竣工。現会長の大林剛郎は芳五郎の孫で、妻は三井財閥のルーツとなる三井家の出身。

工業系 入交家

都道府県 高知
主な収入源 入交グループ本社
創業年 1819年

入交太三右衛門という豪商がルーツといわれ、石灰製造業を皮切りに産業化した入交グループ。現在も創業の地である高知県南国市稲生で石灰製造を行いながら、鉱業、建築土木、アグリビジネスなどを手がける高知県を代表する多角的企業グループだ。グループ企業28社、約1300人の社員を束ねるのは1993年に入交グループ本社社長に就任した入交太郎。

商業・工業系 佐治家/鳥井家

都道府県 大阪
主な収入源 サントリーホールディングス
創業年 1899年

創業者の鳥井信治郎が「鳥井商店」を開業し、洋酒の製造販売を行う。竹鶴政孝を招き、ジャパニーズウイスキーの基盤を固めた。「時間がかかる酒に株式公開は向かない」として非上場。これまで創業家である鳥井家と佐治家で世襲が続いていたが、2014年に初めて社外の新浪剛史が就任。その後継と目されているのは、信治郎のひ孫で現副社長の鳥井信宏。

工業系 大原家

都道府県 岡山
主な収入源 クラボウ/クラレ
創業年 1888年/1926年

綿花栽培が盛んな岡山県倉敷市で、1888年に倉敷随一の豪家だった大原孝四郎を初代社長として、倉敷紡績所(現・クラボウ)が創業。三男の大原孫三郎が2代目社長に就任。1926年に倉敷絹織(現・クラレ)を創立したほか、中国地方のインフラとなる中国銀行や中国電力の礎も築いた。地元では病院や美術館の建設などにも尽力。
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文=堤美佳子、田野早希子 イラストレーション=スタジオ・ムティ

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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