事業継承

2023.06.05

地域繁栄の裏に名家あり! 経済と文化の原動力「日本の名家50選」

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老舗系 茂木家 

都道府県 千葉
主な収入源 キッコーマン
創業年 1917年

江戸初期よりしょうゆづくりを行ってきた千葉県野田市のしょうゆ醸造家らが野田醤油として設立。各醸造家の技と知恵を集結し品質のよいしょうゆの供給を目指した。現在世界100カ国以上に流通。創業8家(茂木家6家、高梨家、堀切家)の間で優秀な後継者を確保するために「創業8家から入社できるのは1世代1人に限る」などの不文律がある。

文化系 千家

都道府県 京都
主な収入源 表千家、裏千家、武者小路千家
創業年 ー

千利休を祖とする茶道の家元で、「三千家」と呼ばれる流派である武者小路千家と表千家と裏千家。利休の孫・宗旦の次男が一翁宗守といって武者小路千家を、三男である江岑宗左が表千家を、四男の仙叟宗室が裏千家をそれぞれ創設した。茶の泡立て方や用いる道具などに細かな違いがある。家元たちは 茶道文化を国内外に発信している。

老舗系 浜口家

都道府県 千葉
主な収入源 ヤマサ醤油 
創業年 1645年

初代浜口儀兵衛がしょうゆ発祥の地・紀州から銚子にわたりヤマサ醤油を創業。7代目当主の浜口梧陵は、1854年に地元和歌山を地震と津波が襲った際、稲束(稲むら)に火をつけ急を知らせて多くの村民の命を救い「稲むらの火」として語り伝えられる。12代目当主の浜口道雄が2017年に会長に就任し、石橋家の血を引く甥・石橋直幸が社長に就任した。

老舗系 嘉納家

都道府県 兵庫
主な収入源 菊正宗酒造
創業年 1659年

材木商だった嘉納治郎太夫宗徳が屋敷内に酒蔵を建て、酒造業を開始。江戸中期には酒造業に専念し、日本酒「菊正宗」を製造。1877年には早くイギリスへ輸出。1927年には灘高の設立代表者となる。歴代トップは創業家から出ており、2017年6月に逸人が社長に就任、12代嘉納治郎右衞門を襲名した。分家の白嘉納家が経営するのが白鶴酒造。

文化系 池坊家

都道府県 京都
創業年 華道家元池坊
創業年 ─

京都に本拠がある、国内最古で最大の流派である華道家元池坊。室町時代に僧侶・池坊専慶が武士に招かれて花を生けたことから始まり、のち16世紀に池坊専応がいけばなの理念を確立、弟子に相伝するようになる。四十五世家元は池坊専永、次期家元は長女の池坊専好。世界に約120の拠点を持ち、華道を世界に広める貢献をしている。

老舗系 高津家

都道府県 東京
主な収入源にんべん
創業年 1699年

かつお節専門店の「にんべん」は、創業者である初代高津伊兵衛が日本橋四日市の土手蔵(現・日本橋1丁目)に戸板を並べて鰹節と塩干類の商いを始めたことがルーツ。老舗ののれんを守りつつ、一汁一飯がコンセプトの飲食店や日本食事業、煎り酒をアレンジした「江戸レッシング」の製造・販売等の挑戦を続けるのが、13代当主の高津伊兵衛社長。
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文=堤美佳子、田野早希子 イラストレーション=スタジオ・ムティ

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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