事業継承

2023.06.05

地域繁栄の裏に名家あり! 経済と文化の原動力「日本の名家50選」

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メディア系 一力家

都道府県 宮城
主な収入源 河北新報社
創業年 1897年

1863年に生まれ、書店経営ののち株式会社社長や宮城県義、仙台市議などを務めていた一力健治郎が、廃刊寸前の改進党機関紙「東北日報」を譲り受け「河北新報」を創刊。地方紙初の英文欄を設けるなど、全国屈指のブロック紙となる基礎を築いた。現社長の雅彦は4代目にあたる。その息子は1997年生まれの囲碁棋士、一力遼である。

地主・工業系 中野家

都道府県 新潟
主な収入源 ─
創業年 ─

日本有数の油田があった新潟で「石油王」と呼ばれた中野貫一。1804年に貫一の曽祖父が石油採掘権を買い取ったことから事業を開始。中野家は代々庄屋で豪農であり、貫一は所有地内での原油採取に成功。1914年に長男・忠太郎と中野興業を設立し、国内第3位の石油業者に成長させた。第2次世界大戦で燃料が枯渇し国策により石油事業を手放した。

工業系 岩崎家

都道府県 栃木
主な収入源 住友大阪セメント
創業年 1907年

1864年に栃木県藤岡町で生まれた岩崎清七が磐城セメント(後の住友大阪セメント)を創業。1949年には日本初の生コンクリート製造を始めた。清七は日本製粉社長、東京ガス社長も務めている。1963年に住友セメントと社名変更し、住友グループに加入。翌年白水会に加盟した。1994年に大阪セメントと合併して住友大阪セメントが発足した。

商業・工業系 森家

都道府県 東京
主な収入源 森ビル
創業年 1955年

横浜市立大学の教授だった森泰吉郎が、家業の不動産業を発展させるために森不動産を設立。1950年代後半から本格的な賃貸オフィス事業に進出。バブル期の1991年には米フォーブスの世界長者番付で2兆7000億円で世界一に。地権者の合意を取ることを重要視し、時間がかかっても根気強く幼稚を取得。皆が納得する東京都心部の再開発を進める。

商業・文化系 朝吹家

都道府県 東京
主な収入源 ─
創業年 ─

大分県に長く続く庄屋に生まれた実業家・朝吹英二は、王子製紙取締役会長、三井系諸会社の重職を歴任。息子の朝吹常吉は三越社長、帝国生命保険社長を務めた。文化方面に著名人を輩出し、常吉の子でフランス文学者の三吉、三吉の妹でフランス文学者の登水子、三吉の次男で鮎川信夫賞を受賞した詩人の亮二、亮二の娘で芥川作家の朝吹真理子がいる。

商業・工業系 上原家

都道府県 東京
主な収入源 大正製薬
創業年 1912年

ロビー活動などを通して薬剤師の地位向上に尽力していた石井絹治郎の個人企業として1912年に発足した大正製薬所。縁故採用をやめ、後に3代目社長となる上原正吉を採用して以降、事業がさらに発展していった。「商売は戦い、勝つことのみが善である」「紳商」という創業の精神がいまも受け継がれている。8代目社長・上原茂は横綱審議委員会も務める。

商業・工業系 塚本家

都道府県 山梨
主な収入源 ツカモトコーポレーション
創業年 1812年

近江商人の初代・塚本定右衛門が、甲府に小間物問屋「紅屋」を創業したのが始まり。塚本家は近江商人の教えである「売り手よし・買い手よし・世間よし」の「三方よし」に基づき、治水・治山事業や学校設立にも尽力してきた。現在では、総合繊維商社として和装事業・洋装事業、ユニフォーム事業、生活雑貨や健康機器など生活関連事業などを展開。

地主・商業系 渋沢家

都道府県 埼玉
主な収入源 ─
創業年 ─

東京株式取引所(現・東京証券取引所)や第一国立銀行(現・みずほ銀行)をはじめ、金融機関から学校まで2146の企業や団体を設立した日本近代社会の父、渋沢栄一。公共の福祉を大事にしたこと、後継者を身内に限らなかったこともあり渋沢家は財閥としての形をとらなかった。子孫たちは渋沢の「道徳経済」思想の継承に努め広く活躍。
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文=堤美佳子、田野早希子 イラストレーション=スタジオ・ムティ

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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