事業継承

2023.06.05

地域繁栄の裏に名家あり! 経済と文化の原動力「日本の名家50選」

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地主系 伊藤家

都道府県 新潟
主な収入源 北方文化博物館など
創業年 ─

江戸時代に農民から身を立て、明治には越後随一の大地主となった伊藤家。全盛期には、新潟県中央部に1372町歩(東京ドーム約290個分)の田地を所有し「弥彦参りまで人の土地を踏まずにゆける」といわれた。七代目文吉が戦後農地改革で「博物館をつくり、財産の総てをこれに寄付する」と決め北方文化博物館として一般に公開。新潟と日本の文化を伝える。

歴史系 冷泉家

都道府県 京都
主な収入源 冷泉家時雨亭文庫 など
創業年 ─

平安・鎌倉の歌聖と仰がれた藤原俊成、定家父子を祖先にもつ、「和歌の家」である。1981年に、公益財団法人冷泉家時雨亭文庫を設立し、典籍類や完全な姿で現存する公家屋敷などを継承保存。その唯一の施設である。2023年3月には、歌道宗家冷泉家の後嗣として、24代当主・冷泉為任の孫の野村渚が決定した。

地主系 諸戸家

都道府県 三重
主な収入源 諸戸ホールディングス
創業年 1863年

かつて1867町歩(東京ドーム約400個分)の土地を持ち「山林王」と呼ばれる諸戸家。諸戸清六が三重県桑名市で「内海屋」として創業し、のちに植林事業や造林事業も手がける。現在もスリーレイクスカントリークラブ等のグループ企業を持ち、近年は飲食店や宿泊施設、キャンプ場開発などを通しまちづくりをするエリアブランディング事業も展開する。

メディア系 野間家

都道府県 東京
主な収入源 講談社
創業年 1909年

野間清治が1909年「大日本雄弁会」として設立。1911年に雑誌『講談倶楽部』を発刊し以後講談社の名が使われる。雑誌『面白倶楽部』の発刊の辞から、「おもしろくて、ためになる」が現在に至るまで講談社の編集方針に。大正〜昭和前期にかけて講談社発行の雑誌は日本全体の雑誌の総部数の7割を占めた。2011年には7代目社長・野間省伸が就任。

歴史系 細川家

都道府県 熊本
主な収入源 ─
創業年 ─

鎌倉時代に三河国額田郡細川郷に土着し「細川」と名乗ったのが始まり。2代・細川忠興は明智光秀の娘・玉子(ガラシャ)の夫である。3代・細川忠利が初代熊本藩主となる。熊本県知事や内閣総理大臣を務めたことで知られる細川護熙は第18代当主にあたり、日本新党で非自民の連立政権を作り、政界地図を塗り替えた。現在陶芸家・襖絵師として活躍する。

地主系 田部家

都道府県 島根
主な収入源 田部グループ
創業年 1460年

室町時代に初代当主の田辺彦左衛門が神夢により川砂鉄を採集し製鉄を開始。以来、たたら製鉄を生業としてきたが大正12(1923)年にたたらは廃業、山陰中央新報社や山陰中央テレビなどのメディアに進出した。2015年に長右衛門を襲名した第25代当主・田部長右衛門は、たたら製鉄の復興・産業化を推進する「たたらの里づくりプロジェクト」を立ち上げた。

商業系 町村家

都道府県 北海道
主な収入源 町村農場
創業年 1917年

越前国の武士家系に生まれた町村金弥は、札幌農学校へ入学、アメリカ式農業経営法を学び、道内初の官営牧場である真駒内牧牛場で働く。この金弥の開拓者魂を受け継いだ長男・町村敬貴はアメリカへの酪農留学を経て町村農場を創業、日本の酪農の近代化に尽力した。五男・町村金五の子孫からは町村信孝など、政治家家系として人材が輩出。

地主系 本間家

都道府県 山形
主な収入源 ー
創業年 1689年

山形県酒田市を中心に日本一の大地主といわれた豪商。米相場の投機で得た多額の金を土地に替え東京ドーム650個分の土地を所有していた。1689年に初代・本間原光が新潟屋を開業、代々本間家が商いを営む。一方で庄内藩への献金や砂防林植林など地域発展を支えた。幕府の巡見使一行を迎えるための宿だった本間家旧本邸や本間美術館は人気観光地。
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文=堤美佳子、田野早希子 イラストレーション=スタジオ・ムティ

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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