事業継承

2023.06.05

地域繁栄の裏に名家あり! 経済と文化の原動力「日本の名家50選」

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商業・工業系 中部家

都道府県 山口
主な収入源 マルハニチロ
創業年 1880年

創業者・中部幾次郎は、15歳で祖父から引き継いだ鮮魚仲買運搬事業を開始。1905年に山口県下関で日本初の発動機付鮮魚運搬船「新生丸」により漁業事業を拡大した。1924年に大洋漁業の前身・林兼商店を設立。2002年創業一族である中部家以外からの社長昇格2人目となる五十嵐勇二が社長に就任。2007年のニチロと経営統合を主導した。

商業系 小林家

都道府県 大阪
主な収入源 阪急阪神東宝グループ
創業年 ─

阪急電鉄や東宝、宝塚歌劇団、阪急百貨店をはじめとする阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)を築いた小林一三は、私鉄経営のビジネスモデルを編み出し鉄道会社の経営手法に影響を与えた。2022年5月には、27年ぶりに創業家出身となる松岡宏泰(一三の孫)が東宝第15代社長に就任し話題に。弟は元プロテニスプレイヤーの松岡修造。

工業系 神原家

都道府県 広島
主な収入源 常石造船/常石グループ 
創業年 1903年 

1903年に神原勝太郎が石炭輸送のため海運業を立ち上げて以来、開運・造船業を生業としてきた。現在ではエネルギー、環境、レジャー部門など多様な事業を展開。現ジャパンタイムズ会長で勝太郎のひ孫である末松弥奈子は、2014年にツネイホールディングスの役員在任時、瀬戸内クルーズ船「guntu(ガンツウ)」を竣工し話題を呼んだ。

工業系 安川家

都道府県 福岡
主な収入源 安川電機
創業年 1915年

安川財閥の創始者である安川敬一郎は大学を中退し炭坑経営を始めた。五男・安川第五郎は、安川電機の前身である安川電機製作所を敬一郎の出資で創業。モーター電動機に特化して事業を大きく成長させた。第五郎は九州電力会長、日本原子力発電社長、日本原子力研究所初代理事長、1964年の東京オリンピック組織委員会会長などを歴任した。

商業・工業系 武田家

都道府県 大阪
主な収入源 武田薬品工業
創業年 1781年

創業者の武田長兵衛が江戸時代から屈指の薬種問屋街として全国に知られた大阪・道修町で和漢薬の商売を始めた。1871年にいち早く洋薬の輸入を開始。最後の創業家出身の社長である武田國男は、反対もあるなか外国人経営者への事業承継を後押しし、2015年からはクリストフ・ウェバーが社長兼CEOを務め、グローバル化に力を入れ拡大を続ける。

商業・工業系 石橋家

都道府県 福岡
主な収入源 ブリヂストン
創業年 1906年

石橋正二郎が兄の重太郎とともに「志まや」の仕立物業を父・徳次郎から引き継ぎ始まった。地下足袋やゴム靴の製造で躍進、1931年には自動車タイヤの国産化に成功した。正二郎の収集した美術品展示のため1952年にブリヂストン美術館(現・アーティゾン美術館)が開館。石橋正二郎の長女・安子は、鳩山由紀夫元首相と鳩山邦夫元総務大臣の母。

商業・工業系 出光家 

都道府県 福岡
主な収入源 出光興産
創業年 1911年

創業者の出光佐三は『海賊とよばれた男』(百田尚樹 著)のモデルとして知られる。1911年、門司で出光商会を創業し機械油の販売から販路を拡大した。2016年には昭和シェル石油との合併計画をめぐる経営陣と創業家の対立が勃発。創業家は佐三の遺訓
「大家族主義」を背景に反対を続けていたが、賛成に転じて19年に経営統合を果たした。
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文=堤美佳子、田野早希子 イラストレーション=スタジオ・ムティ

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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