ですから事業開発の観点では、自らのビジネス目標の達成だけではなく、マーケット全体の成長を意識して、メッセージを伝えていく必要があります。
このような考え方は、自身が生み出す作品とコミュニケーションすることによって、論理とは異なるレイヤーで生じてきました。日々の目標達成とは必ずしも一致しないこともあるかもしれませんが、ブレイクダウンされたタスク達成を大きく超えた大きな問題意識で、ビジネスや、それをとりまく社会状況に向き合う必要が絶対に生じてきていると思います。まさに、「Success and Scale Bring Broad Responsibility」です。
「調和」表現には、光を組み合わせるか、補色を組み合わせるか?
──「Colors United」のコンセプトに、「強いコントラストからも調和を生み出すことができる」ことがありました。ビジネスの世界でも、また社内でも同様なことがあるでしょうか。絵で調和を表現するには2つの方法があります。1つは近い色を組み合わせる方法、もう1つは補色にあたるような、コントラストの強い色を組み合わせる方法です。
光の三原色はそれぞれが強い個性の色なのに、不思議なことに、混ぜ合わせるとグレーになりますよね。そのことにも関係するのですが、相反するように見える色も、適切に組み合わせれば調和します。逆に、特定の色を中途半端に挿し込むと全体が濁ってしまいます。
人の組み合わせについても同じようなことがいえると思います。ダイバーシティや個性という観点では、同じような人ばかり集めると変化が起きにくい。一方で、個性があまりにも異なる人ばかりを集めると、チームマネジメントが難しく感じられます。ただ、そういう問題は組み合わせが「中途半端だから」起きるのであって、もしも広く俯瞰しながら様々なバリエーションの人を配置することができれば、全体を調和させられるのではないかと思います。