ビジネス

2023.05.24

不確実な時代を実業とアートの二刀流で AWS金融事業開発本部長の実践

アマゾン ウェブ サービス ジャパン金融事業開発本部長 飯田哲夫氏(撮影=曽川拓哉)

──大学ではフランス文学を専攻されていました。最もビジネスから遠いイメージのある分野ですが、現状のビジネス活動にどのような影響がありますか。

当時テーマにしていたのはシュルレアリスム文学でした。シュルレアリスムは理性に頼らず直感や感性に目を向ける文学です。中でも特徴的な方法として「自動筆記」があります。理性を否定して内面を出していくために、手が動くのに任せてしまう、という技法です。

文学が持つそういった、論理的な思考に頼らず直感から出てきたものを活かしていくことへの求心力は、現在の創作活動へのモチベーションにも影響していると思います。思えば絵を描き始めたのも、シュルレアリスム文学をテーマに研究をしていたその頃でした。

考えてみれば、シュルレアリスム文学に出会うよりも前、たとえば受験勉強をガリガリやらなければいけなかった時代から、「予定された成功や決められた方向に向かって計画的に突進する」ことへのアンチテーゼみたいな感情もあったのかと思います。

だから、私の場合、創作活動の端緒は、理性のみには頼らない表現手段を手に入れることで気付きが得られるのではないか、という期待感だったと思います。絵によって何かを表現しよう、という意識があったわけではありませんでした。ただ、何か「別のことを始めてみたかった」のです。


飯田哲夫◎アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 金融事業開発本部長。東京大学文学部仏文科卒業後、IT業界に身を投じ、金融機関に特化したITソリューションの開発・企画を担当。ロンドン勤務を経てマンチェスター・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)取得。電通国際情報サービス時代の2012年には、日本初のFinTechピッチコンテスト「金融イノベーションビジネスカンファレンス(FIBC)」を立ち上げる。アクリルを中心とした創作活動で毎年1回、個展を開催(2022年、東京都新宿区 アートコンプレックスセンターでの「Colors United」は通算14回目)。現代美術の老舗として有名な「美学校」への在籍経験もある。

文=松尾優人 取材・編集=石井節子 撮影=曽川拓哉

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