また、あまり頭で考えられるタイプではなく、すべて自分たちの感覚で決めていきます。いまの世界情勢に対して、どんな作品やテーマがいいのか。アーティストが作品に込めているメッセージに適した展示場所はどこか。
それらが決まったら、会場と作品をどう融合できるか、どう空間を使ったら伝わるかということを、アーティスト本人、セノグラファー(舞台や展覧会などで空間デザインを行う)と一緒に詰めていきます。打ち合わせも相当な回数を重ねるので、アーティストたちからは「普通はここまでやらない」と驚かれますが、僕らは他のやり方を知らないんです。
施工会社以外は外注しておらず、スタッフの多くはフリーランスで、各々自分のやり方でタスクとミッションをクリアしてもらう体制。マネジメントができない二人が舵を取っているので、本当に苦労していると思いますが(笑)、そうすることで他とは違う個性ができてきました。建築家やグラフィックデザイナーなどのクリエーターも、長年一緒に実験しながら、一緒に成長してきています。
深井:会場の数も、前回より増えているのではないですか?
仲西:はい。経営的な視点では、当然、数や経費を減らし、利益を上げていく必要があると思うのですが、僕らにはそういう考えがほとんどなくて。本当に毎回、来場者たちをいい意味でサプライズさせることしか考えていません。あれもこれもやりたい。だから気をつけないと、会場もどんどん増えていっちゃうんです(笑)。
例えば今年、ココ・カピタンというスペイン出身のアーティストの展示は、作品の制作にあたり、京都の花街や伝統工芸、禅塾の方々にご協力をいただいて。彼らを含め、京都のいいところをもっと知らせていかなきゃいけないという使命感から、当初1会場の予定だったのが、結局3会場使わせていただくことになりました。