ハーバード大教授が生み出した「幸せの方程式」

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ファイナンシャル・プランニングでは方程式をよく使用する。多くは数値に関連したものだが、最近は金銭的ではない資源の活用に適用される式も増えてきた。人が持つ時間、影響力、エネルギー、人間関係などのこうした資源は、お金と同じくらい重要ながら、しばしば不足しがちだ。

だからこそ先日、私は社会科学者でベストセラー作家、ハーバード・ビジネス・スクールの教授でもあるアーサー・ブルックス博士の講演を聞いたとき、「幸せは意図的に追求できるものだ」との考え方に特に心を打たれた。博士はまた、人が幸せを追求する上で、以下の方程式が役に立つと語った。

幸せ=楽しみ+満足感+意味

各要素について見ていこう。

ここでの「楽しみ」は、「快楽」と同じではない。博士は「最も気の毒な人たちは快楽を追求し、そこで止まってしまう」と指摘した。とはいえ、快楽は楽しみを構成する一要素ではある。

楽しみ=快楽+交わり+意識

これは皆さんも実感できるものではないだろうか。人は、愉快な経験を誰かと共有し、その瞬間をじっくり心に刻むことで、より大きな楽しみを得られる。

では、ブルックス博士が言う「満足感」の定義は何なのだろう。それは、「努力によって目標を達成する嬉しさ」だ。博士は、ローリング・ストーンズの曲で人気を得た「can't get no satisfaction(ちっとも満足できない)」という考え方には異を唱えたものの、満足感は儚く、価値が薄れやすいことは認めた。

こうした価値の低下は、物品を購入することで満足を追求するときに最も顕著に現れるだろう。車を買ったときに得られた満足感について、思い返してみてほしい。この出費に対する満足感が一番大きかったのは、新車を運転して帰宅した日だったのではないだろうか。

これは偶然の産物ではないとブルックス博士は説明する。「私たちは満足した瞬間にその対象の価値を切り下げることで、より多くを達成できるよう仕組まれている」。この現象は「ホメオスタシス(恒常性)」として知られており、人は満たされることが決してないかもしれなくても、より多くを求めて努力し続けるように作られている。

だが、ご安心を。博士は、満足感の方程式も提示している。
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編集=荻原藤緒

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