ですが、資金は無理でも作業や物資でならと、協力してくださる企業も多く、そのおかげで続けてこられたと言っても過言ではありません。皆で作り上げているという感覚です。
ハイブランドに関しては、やはり海外、とくにフランスの企業が文化貢献への意識が高いこともあり、必然的にそういったところから多くの共感をいただいています。
企業への提案においては、各社が何を求めているかを感じ取ってアプローチするようにしています。ロゴの露出ができればいい、ブランドの精神を伝えたい、商品を見せたい、環境問題への取り組みをアピールしたいなど、企業ごとに協賛メリットに求めることはさまざまです。継続した関係のためにも、できるだけ要望に寄り添うようにしていますが、アートの聖域にコマーシャリズムが入りすぎてしまうことのないよう線引きは大事にしています。
深井:回を重ねながらKYOTOGRAPHIEが京都のエコシステムの中に入っていき、ひとつのコミュニティとして機能し、アーティストやアートシーンを支える国際的な人材の育成にも貢献している印象を受けています。着実に京都の文化を盛り上げる力になっているなと。
仲西:そうですね。日本各地でアートイベントが開かれていますが、企業や有名ブランドが膨大な予算をかけ、世界中からVIPを呼び、嵐のように来て去って行くようなものも散見されます。それでは地域には何も残らない。また、地方行政が主体となって行うアートフェスティバルでは、参加するアーティストに展示機会を提供するだけで、ほとんどメリットがなかったりします。
僕たちが目指しているのは、京都にも、アーティストにも、協力・協賛いただいた企業にもメリットがあり、かつ行政にも歓迎されるもの。すべての人をハッピーにさせるということは本当に難しいことだと思いますが、やはりそこを目指さないと続かないし、やる意味もないと思うんです。
続けてきたことで評価され、賞をいただくこともありますが、本当に嬉しいのは、KYOTOGRAPHIEがきっかけとなって新しい関係性が生まれていくこと。アーティストにギャラリーがついたり、出版や海外での展示が決まったり、国内外の企業同士のビジネスが始まったり。カップルになって結婚した人もいます。