メタバースの事業活用は進むのか? 有望業界とカギ握るイスラエルテック

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メタバースコマースはキーテクノロジーの集積

背景の一つに先ず挙げられるのは、高度な軍事技術から派生した、多くのソフトウェア特許がイスラエル企業によって保有されていることである。

メタバースコマースの構築には、3DCG技術はもちろん、セキュリティやフィンテック、AI、機械学習、ディープラーニング、ディープフェイク等々、あらゆるキーテクノロジーの高次元の融合が求められる。

IT先進国イスラエルの高い技術を持つスタートアップがそれぞれの専門性を活かして活躍することは、想像に難くない。

イスラエル企業ならではの強固なネットワーク力が武器

もう一つの本領として、イスラエル系企業間では、往々にして欧米社会で時間を要する契約が、先ずは口約束だけでも成立する即時性が在る。

イスラエルでは、理系で優秀な学生の多数が、医学と生化学を専攻する者を除いては、軍事技術大学に進学する。ハード面での知識に加え、暗号やソフトウェアの開発や解析においても、世界最先端の技術を習得する。また、徴兵制により軍隊での実体験も共有することから、ユダヤ教の繋がりのみならず、その同級生、同窓生の絆は強く、互いの信頼度が高い。

したがって、メタバース空間の構築に必要不可欠なプラグインと称される様々な個々のソフトウェアを集結して、ライセンス契約を締結することが前提だが、欧米企業が弁護士や法務担当者を介して長時間の交渉を要するのに対し、イスラエル企業同士であれば瞬時にとも言えるほどの合意が取れる。

圧倒的なスピード感と盤石な互助体制で、顧客の複雑で難易度の高い要件を満たすメタバースコマースの構築を可能としているのである。

こうしたイスラエル企業は 米国のビッグテックなどとの協業にも積極的とみられる。

果たして日本のテック企業やメタバース導入・検討企業は今後どのような動向を見せるのか、注目したい。

連載:スポーツ・エンタメビジネス「ドクターK」の視点

文=北谷賢司 編集=宇藤智子

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