ホログラフィーが「アバター興行」で脚光 大型コンサートだけでないその用途

ABBAのアルバム『Voyage』のリリースとホログラムライブショー発表イベント(2021年9月ベルリン/Photo by Jens Kalaene/picture alliance via Getty Images)

ホログラフィーとプロジェクションマッピングを融合させた新世代コンテンツが、エンターテインメントや博物館、商業施設など様々なシーンで急成長を遂げるかもしれない──。

近年ホログラフィーは、マイケル・ジャクソンやホイットニー・ヒューストンなど、既に逝去した著名アーティストを蘇らせ、指揮者、伴奏者やダンサーの舞台実演を組み合わせることによって、興行化されてきた。

また、プロジェクションマッピングは、屋外で建築物にアニメーション化された映像を夜間投影することから始まったが、今では、空間全体にゴッホやモネの絵画を360度拡大投影した美術展など、入場者が“没入感”を楽しむイマーシブ展が世界中の美術館や特設会場で人気を博している。

こうした技術を高次元で併合し、世界を驚愕させたのが、昨年5月にロンドンに建設された3千人収容の特設劇場で公開が始まった『ABBA Voyage(アバ・ヴォヤージ)』である。

アーティスト本人の動きや表情をホログラフィーでほぼ完璧に再現して、高精細LEDスクリーンに投影し、8人のライブバンドと3人のバックコーラスの実演をミックスさせたライブステージで、従来のホログラムライブとも一線を画す、ユニークで完成度の高いエンターテインメントだ。

ABBA本人がデータ収録しアバター製作 ルーカスの特撮映像会社が手掛ける

それまでのホログラム興行では、既に亡くなったアーティストの体形に合わせたダブル(代役)が振り付けを習得し、モーションキャプチャー・ボディースーツを着用してデータを取り込み、顔は過去の本人映像やメイクで酷似させたダブルの映像を加工していた。

しかし、『ABBA Voyage』では、メンバー4人自らがボディースーツを纏い、160台ものカメラを使用して、5週間かけて全22曲を収録。更に往年の“キレ”を再現するために、8人の若手ダンサーをボディーダブルとして起用し、それらのモーションキャプチャーデータを併用することで、アバターの精度が高められている。

そして、『スター・ウォーズ』の特殊撮影を製作するためにジョージ・ルーカス監督が創業した、インダストリアル・ライト&マジック社が世界最高レベルの3DCGを提供し、6500万ピクセルのLEDスクリーン上に映し出される映像は、4人のアバターがコンサート中にビデオ撮影され、高さ10メートルのサイドスクリーンに投影されても、本物にしか見えないほど鮮明だ。

アバターの口の動きはAIで制御されており、遠隔地に居るメンバーが、例えば昨夜行われた野球の試合についてのコメントをインプットすれば、そのコメントが瞬時に演出に反映できるように仕組まれている。

また、世界最大数のキネティックLEDライトが天井に装備され、動作速度、輝度、色調操作により、圧倒的なライブ感を演出している。



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文=北谷賢司 編集=宇藤智子

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