いずれの評価も、ロシアがウクライナ侵攻時にどれくらいの砲弾を保有していたのか、砲弾の消費速度がどれくらいなのかに基づく。そのため、さまざまな数字が飛び交うのを目にしてきた。
米テレビCNNは1月に、ロシア軍が発射していた砲弾数が1日平均2万発から5000発に減少したという米当局者の指摘を報じた。これに対し、ウクライナ軍は1日あたり推定6万発から2万発に減少したという。
スペイン紙エル・パイスは3月に、欧州連合(EU)の内部情報筋の話としてロシア軍は1日あたり4万〜5万発を発射していると報じた。ウクライナへの砲弾の主要供給国であるラトビア政府の、ロシア軍が1日あたり推定2万〜6万発を発射しているという見方も伝えた。
また、同月にはウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相が、弾薬の提供を求めるEUへの書簡の中で、ロシア軍は1日平均約1万5000発を発射していると述べている。
ウクライナの前線から戻ったポーランドの軍事情報企業Rochan Consulting(ロチャン・コンサルティング)の防衛アナリスト、コンラッド・ムジカは同月、ロシア軍が1日あたり推定約1万発の砲弾を消費しているとの見方を示した。
ロシア軍の砲弾の消費が1日6万発から2万発に減ったのか、2万発から5000発になったのかはわからないが、発射回数が減っているのは多くの解説者が認めるところだ。
開戦当初、ウクライナのアナリストはロシア軍が約52万5000発を国内に備蓄していると推定していた。英テレビBBCのジャーナリスト、マーク・アーバンはロシア軍の保有する砲弾の総数は1600万発に達するかもしれないと述べているが、ロシア軍自体も正確な数を把握しておらず、40年以上前の砲弾のどれくらいの数が今でも使えるかもわかっていない可能性が高い。
発射回数の大幅減は備蓄が著しく枯渇していることを示唆している。ロシアは古い砲弾を備蓄から引き出していると報じられているが、その50%もの砲弾が明らかに錆びており、保存状態はひどく、また製造から年数も経っているため良好な状態ではないようだ。部隊にはこれまで使用には適さないとされていた砲弾が支給されているという。