オウム・インコの発声学習能力は種により異なる、市民科学者の協力で明らかに

ヨウム、学名Psittacus erithacus(Getty Images)


ペットのオウムは主として人間が発する音声(会話や家庭の雑音)に晒されているため、それらの音を真似するようになる。オウムたちのこの発声学習データを得られたことで、ダーリン教授とベネディクト教授に、彼らの発声能力に関する基本的な疑問がいくつか生まれた。それは誰もが聞くような質問や、私たちが疑うことなく受け入れてきた考えだった。オウムの種類によって語彙の大きさはどれほど違うのか? オスはメスよりもよく「しゃべる」のか。オウムは年齢を重ねても新しい単語やフレーズを学習し続けるのか?

インターネットの普及と科学研究目的のオンライン調査に協力しようという大衆の意識の高まり(新型コロナ・パンデミックによる都市封鎖下では特に)のおかげで、ダーリン教授とベネディクト教授は協力者たちとともに、Googleフォームによるオンラインアンケート(ここ、あるいは図1のQRコードから見られる)を作成し、飼い主たちにインコの発声能力に関していくつかの質問に答えてもらうことができた(オンラインアンケートは現在も実施されており回答は記録されるが、本研究は2020年10月5日〜2021年4月18日の間に収集されたデータに基づいている)。


オウムといっしょに暮らしていますか? この画像にあるQRコードをスキャンしてあなたのオウムに関する情報を追加して調査に参加できます(DOI:10.1038/S41598-022-24335-X)

大量の回答が寄せられ、何百人もの市民科学者たちがそれぞれのオウムの発声能力データを提供した結果、オウムの発声に関する過去最大のデータベースができ上がった。この調査によって、73種にわたる900近いオウムの標準化データが集まった。野生のオウムからでは構築不可能だった巨大なデータベースだ。報告された発声には、単語とフレーズ、口笛の音階、その他人間から学習した音が含まれていたほか、それぞれの音が適切な文脈の中で発せられたかどうかについても尋ねた。

種によって違いはあるか?


インコの声真似に種による違いはあるのか。以下の図が調査結果だ。


19種のオウム類における、人間の音(青)、フレーズ(黒)、単語(黄色)の真似レパートリー数の平均(±標準誤差)。それぞれのバーの右の英字はテューキー検定の実験群を示す。それぞれの発声カテゴリーについて、同じ文字を共有していない種は、レパートリー数が大きく異なる(DOI:10.1038/S41598-022-24335-X)

「調査の結果、何をしゃべるかに関してオウムの種類が大きく影響している可能性があることがわかりました」とベネディクト教授は言った。

これらのデータによると、オウムの種類は音を真似ることに影響を与えている。ヨウム(Grey Parrot)はおしゃべりのチャンピオンだった(図2)。
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翻訳=高橋信夫

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