オウム・インコの発声学習能力は種により異なる、市民科学者の協力で明らかに

ヨウム、学名Psittacus erithacus(Getty Images)

最新の研究によると、ペットのオウムやインコが適切な文脈の中で単語を使用しており、発声の模倣の能力には種による差異があることが明らかになった。研究ではクラウドソーシングによって構築された900羽近いオウム類のデータベースを使用した。

多くのオウム類が文脈に沿って単語を使っているという実に興味深い研究論文が発表された。この研究は、多くの市民科学者から報告された900羽近いオウムのデータを分析した結果に基づくものであり、オウムの発声レパートリーに関する過去最大の比較分析が行われた。

なぜオウムを研究するのか?


「私は鳴禽類(めいきんるい)のオスとメスの発声について多くの時間をかけて考えてきたため、その視点からまずオウム類に注目しました」と共著者でノーザン・コロラド大学(UNC)生物科学学部の教授でアソシエート・ディレクターのローリン・ベネディクトはいう。

「一般に、オスとメスも同じく優れた発声学習者であるといわれている種に興味を持ちました」とベネディクト教授は説明した。現在、オスがメスを魅了したり縄張りを守るために鳴き声を利用しているため、鳴禽類のオスはメスよりも発声能力が優れているというのが通説だ。一方、オウム類の場合は、雌雄とも同じようによくしゃべる。

「私は、オウムのその性質が果たして本当なのかを疑問に感じ、種を横断した比較研究が有効だと考えました」

野生では、オウムや進化的に最も近い親戚である鳴禽類は、発声方法を自身の家族や仲間、集団などから学ぶ。しかし野生のオウムを研究することは非常に困難であるため、多くの種の標準化データを十分に集めることは不可能だとベネディクト教授は考えた。そこで彼女は野生のオウムを研究しているクリスティン・ダーリン教授に相談した。

「私は野外生物学者として、野生のオウムを研究して良質なデータを集めることの難しさを十分理解しています」と研究のリーダーを務めたピッツバーグ大学ジョンズタウン校(UPJ)の生物学准教授クリスティン・ダーリンはいう。「オウムは熱帯地方の接近が困難な場所に生息し、長距離を飛行し、木々に紛れ込むため、ラベルをつけるなどの方法で個体を識別することは極めて困難です。このため、私たちが集めた鳴禽類の会話に関する膨大なデータにもオウムは入っていません」

しかし2人は、何千羽というペットのオウムやその飼い主たちが、オウムの発声に関する膨大で未知の基本的情報を研究コミュニティに提供してくれるかもしれないと考えた。

「私たちは、市民科学者コミュニティの協力を得ることで、多くの種にわたって何百もの鳥種を調べるのと同等のデータを得られることに気づきました」とベネディクト教授はいう。「しかも、それらのデータはパンデミック期間中にすべて集めることができたのです。フィールドワークも集合する必要もありません。すべてが非常にうまくいきました」
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翻訳=高橋信夫

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