性別は無関係(らしい)
オウムの発声能力において、性別は多くの人が信じているほど重要ではない。たとえば、私は(いくつかの国で)オウムのブリーダーや飼育家から、メスのオウムは人間の言葉をまったく真似しないか、真似が下手だとよく言われてきた。しかしこの研究結果によると、それは今すぐ修正すべき深刻な誤りだ。
図3:19種の個体数10以上の性別による差異(青:オス、赤:メス、緑:性別不明)(DOI:10.1038/S41598-022-24335-X)
この誤った考えは、飼育者が性別不明のおしゃべりオウムをオスとみなす傾向が高い(74%)という、蔓延する報告バイアスによって、いっそう助長されている。実際、調査協力者たちがこの考えを検証した。性別不明のしゃべるオウムといっしょに住む人たちは、確実な識別方法(DNA鑑定、外科的雌雄鑑別、性的二色性)を用いることなく、圧倒的多数がしばしば誤ってそれがオスであると判断していると研究チームは結論づけた。
ただし、オウムのオスがメスよりも優れた模倣者であるという考えは、ごくわずかなオウムの種においては実際に真実であり、たとえばセキセイインコはオスの方が発声レパートリーが広く、マメルリハはオスのみが「しゃべる」と報告されており(本調査におけるマメルリハの標本は少ないため誤りである可能性がある)、一方オオキボウシインコは「メス」の方がおしゃべりであると報告された。
オオキボウシインコ、学名:Amazona oratrix(Derrick Coetzee / CC0 / Public Domain、https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Amazona_oratrix_-Cougar_Mountain_Zoological_Park_-hand-8a.jpg)
本研究はさらに、年齢が音声模倣能力の要因である可能性も指摘しており、幼鳥は発声レパートリーの拡大が早く、性的成熟に達すると停滞期に入るという。データ分析によると、50歳のオウムは5歳のオウムと比べてレパートリーは広くなかったが、高齢のオウムが新しい飼い主のところへ移動すると、新しい単語を覚えることがあるという報告もある(これは私のヨウム3姉妹のうちの2羽の例であり、彼女のドイツ語会話能力は、成鳥として我が家に来て英語を学習するまで、私よりも上だった)。
オウムは言語を柔軟にあやつる
オウムが人間の話し言葉を「理解」しているかどうかは、定量化が少々難しいテーマだが、オウムが話すのを聞いていると、なんとなく説得力を感じてしまう。そもそも、オウムは単語やフレーズを適切に文脈に沿って使っているのだろうか? この調査では、飼っているオウムの89%が適切な文脈で自然に人間の言葉を使用しており、その多くが頻繁にそうしていると回答者は報告した(図4b)
図4a:フレーズの中で単語を再構成する比率。b:文脈に沿って「自然に」発声する比率(DOI:10.1038/S41598-022-24335-X)