人類は今後100年間で地球上の生物多様性の4分の1以上を消失させる

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絶滅は生命の歴史の一部であり、化石の記録を辿ると単一の種が消えることはよくある。しかし、大量絶滅の際には、短期間に生物多様性の大部分が失われる。この400年の間に、多くの哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類が、人類による狩猟や生息地の破壊によって絶滅した。しかし、これはまだ始まりに過ぎないかもしれない。

欧州委員会の科学者であるヘルシンキ大学のジョバンニ・ストローナ博士とフリンダース大学のコリー・ブラッドショー教授は、欧州で最も強力なスーパーコンピュータの1つを使用して、人工的な種と1万5000以上の食物網を備えた仮想地球を作り、次の世紀に気候や土地利用の変化によって消滅するであろう種の相互関連性を予測するためのコンピュータモデルを開発した。

このモデルは、地球の多様性の将来について厳しい予測を示し、世界が6回目の大量絶滅に向かっていることを疑う余地なく示した。

2人の科学者によると、今後100年間の絶滅率を評価するこれまでのアプローチは、共絶滅(co-extinction)、つまり気候変動や地形の変化により絶滅した種に依存しているために絶滅する種を考慮に入れていなかったため、過小評価だったという。

ブラッドショー教授は「気候変動で獲物を失った捕食種のことを考えてみてください。獲物となる生物種そのものが、特定の要因によって絶滅することは、『一次絶滅』と呼ばれます。しかし、食べるものがなくなると、その捕食者も絶滅してしまいます(「共絶滅」です)。あるいは、森林伐採によって宿主を失った寄生虫や、温暖化によって受粉媒介者を失った草花を想像してみてください。どの種も何らかのかたちで他の種に依存しているのです」と説明する。

これまで、研究者は地球規模で種を相互に関連づけて、共絶滅によってどれだけの派生的な損失が発生するかを推定することができなかった。気候変動や生息地の喪失が種の運命に及ぼす直接的な影響など、絶滅の個別の側面を検討する優れた分析は数多く存在していたが、これらの側面を現実的に組み合わせて、絶滅の連鎖規模を予測することができていたわけではない。
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翻訳=酒匂寛

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