サメの世界的保護に関するワシントン条約の画期的採決、フカヒレ取引を規制

シュモクザメ(Getty Images)

11月17日、世界各国の政府によってサメ保護の状況を一変させる画期的な決定が下された。54種のサメの保護強化が「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(CITES、ワシントン条約)第19回締約国会議(CoP19)で採択された。ワシントン条約CoP19は、メジロザメ(requiem shark)科とシュモクザメ(hammerhead shark)科全54種を同条約附属書2に記載することを委員会で採決した。この結果、ワシントン条約の監視と管理の目をくぐってフカヒレの国際取引が行われているサメ種のほぼすべてがリストに加わった。CoP19以前に記載されていたのはわずか25%の種だった。

条約の附属書1、2および3は、さまざまなレベルや種類の過剰搾取に対する保護を与えられている種のリストだ。附属書2には、現時点では必ずしも絶滅が危惧されていないが、取引を厳しく監視しなければ絶滅する可能性のある種が記載されている。

これが世界で多くの人々が戦い、これらのサメ種に対する漁業圧力が持続不可能であると主張している理由だ。「この2つの科だけで、年間5億ドル(約700億円)に上るフカヒレ取引の半分以上を優に占めています。今後は、持続可能でない取引は不可能になり、これらの種が回復する機会が与えられます。そして、ワシントン条約のリストが強化されることで、世界中のサメとエイの保護がいっそう強くなるでしょう」と、野生生物保全協会(WCS)サメおよびエイ保護担当ディレクターのルーク・ウォーウィックはいう。

「本日、メジロザメとシュモクザメのために採用された提案は、パナマ政府が支援してきたものであり、世界の海洋肉食動物が管理、保護される状況を永遠に変えるでしょう」

この成功を称賛している組織はWCSだけではない。IFAW(国際動物福祉基金)もこの決定を歓迎し、国際取引における新たな持続可能性要件が認められたことを喜んでいる。「IFAWは、サメのヒレや肉の持続不可能な国際取引を規制するこの画期的決定を下した各国政府を称賛します。そのような取引は、生態学的に重要な一部の肉食動物を絶滅の危機に追いやってきました」とIFAWの国際ポリシー担当上級プログラム・マネジャー、バーバラ・スリーは述べた。
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翻訳=高橋信夫

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