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2022.11.25

米中Eコマース最新事情 リスクの少ないバーチャルインフルエンサーも活躍

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注目すべきテーマ


オムニチャネルショッピング体験


多くの買い物が完全にバーチャルだったパンデミック期間から脱却し、消費者はオンラインと店舗の統合されたショッピング体験を求めるようになっています。現在、ブランドは大手Eコマースプラットフォームと提携し、その広範な物流インフラや消費動向に関するデータを活用して、オンラインとオフラインの両方の消費者に、より効果的にアプローチしようとしています。

2022年5月20日、JD.comは、アプリ内コンポーネントを備え、マーチャンダイジングとサービス能力を最大限に活用したオフライン店舗「The J Shop」の立ち上げを発表し、中国5都市(北京、成都、深圳、銀川、西安)でオフラインのパイロット店舗を開設しました。

同社のプレスリリースによると、各店舗では、美容品、アパレル、家庭用品、高級品、スポーツ用品などのカテゴリーで国内外の約2000点の商品を取り扱い、同社のデジタル・サプライチェーンと既存のオムニチャネル機能により、消費者の需要やトレンドに応じて、店舗内で迅速に新商品を循環させることができるといいます。

また、店舗では、ゲームや魅力的な商品のデモンストレーション(ライブストリーミングされることも多い)など、数々のインタラクティブな要素を備えています。J Shopで購入できる商品は、JD.comアプリで注文し、店舗から5キロメートル以内であれば1時間以内に配達してもらうことも可能です。

同様に、Amazonは今年初めにオープンした新しい衣料品店「Amazon Style」を含む、さまざまなオフラインの店舗業態を展開しています。Amazon Styleでは、試着室でタッチスクリーンを使って、オンラインにしか在庫がないような服でも、パーソナライズされたおすすめや異なるスタイルやカラーを見ることができます。また、同社はレジのないコンビニエンスストア「Amazon Go」もオープンさせています。

消費者が店舗に戻るにつれ、大手Eコマース事業者は自社のテクノロジーと物流の強みを活かし、シームレスなオムニチャネルショッピング体験を提供し続けることが期待されます。


ソーシャルコマース


ソーシャルコマースとは、ソーシャルメディアプラットフォームが、急速な技術革新によってEコマースショッピング機能を導入することです。没入型で合理的なショッピング体験を求める消費者の需要に応じて、世界中で拡大し、従来のEコマースプレイヤーに対抗しています。

中国では、DouyinやKuaishouなどのソーシャルメディアプラットフォームが、今年の「6.18 ショッピングフェスティバル」などのショッピングホリデーに公式に参加し、Eコマース機能をリリースしています。例えばDouyinは、ユーザーが見ている動画から直接買い物することができ、同社の年次報告書によると、今年、物流機能の開発にも着手したといいます。

Coresight Researchの「中国ライブストリーミングEコマース調査2022」によると、Douyinは今年、Taobao Liveを抜いて中国でトップのライブストリーミング・チャネルとなりました。

Financial Timesによると、米国では今年、TikTokがライブショッピング機能をもつ計画がありましたが、クリエイターやユーザーを惹きつけるための課題に直面し、今のところ計画は保留されています。一方、YouTubeはライブショッピング機能の拡充を続けており、直近では2022年7月にECプラットフォームや企業向けサービスを提供するEC企業「Shopify」との提携を発表しています。

革新的で没入感のある体験を求める消費者が増える中、ソーシャルコマースはその需要に応えるべく拡大し、今後数年でEコマースチャネルはより浸透することが見込まれます。
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文=RxR Innovation Initiative

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