ビジネス

2022.11.25

米中Eコマース最新事情 リスクの少ないバーチャルインフルエンサーも活躍

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競争状況


米国


Coresight Researchの推計によると、Amazonは2021年に41.9%の市場シェアを獲得し、米国で圧倒的な大手Eコマース小売企業であり続けています。2022年8月23日の当社の米国消費者動向追跡調査によると、回答者の58.3%がAmazonのプライム会員であり、さらに22.8%が利用できる状態であることが分かりました。

WalmartはAmazonのすぐ後ろを追随し、米国市場の8.2%を占めています。アメリカ人の90%が10マイル以内に同社の店舗があることから、同社は消費者へシームレスなオムニチャネル体験を提供することが、Eコマース成長の原動力であるとしています。また、年会費を払うことでWalmart+に加入でき、宅配サービスを受けることも可能です。

中国


EコマースプラットフォームのAlibabaとJD.comは、中国のEコマースの普及状況をふまえると、非オンライン小売企業を含んでみても、中国を代表する小売企業となっています。オンライン市場全体の中で、2021年の売上高の75%以上を両社が合計で占めています。2021年のオンライン売上高全体に占めるAlibabaのマーケットプレイスの割合は43.6%で、2020年から約2ポイント上昇、JD.comは約34.5%で、2020年から約4ポイント上昇しています。

AlibabaとJD.comは、そのビジネスモデルで差別化がされています。Alibabaは主にマーケットプレイスを運営し、買い手と売り手の仲介役を担っています。一方、JD.comは消費者への販売在庫を所有しています。

しかし、今年初め、AlibabaはTmallアプリからアクセスできるプラットフォーム「Mao Xiang」を立ち上げ、同プラットフォームを通じて販売される商品の在庫の所有を始めました。これはJD.comのモデルと非常によく似ており、特に物流や真正性に関してより信頼できるサービスを提供する印象のあるJD.comと直接競合することになります。

中国では、Pinduoduoは主に低層都市や農村部を対象とした農業関連のEコマースプラットフォームで、AlibabaとJD.comに次いで3位に位置しています。2015年のサービス開始以来、急成長を遂げており、2017年から2021年までのCAGRは170.9%となっています。

図5. Eコマース事業者ランキング:2021年の中国(左)と米国(右)の上位10社(オンライン売上高に占める割合)

(図内の訳、コメント左「AlibabaとJD.comは、オンライン市場売上全体の75%以上を占めている」
コメント右「Amazonは2位以下の9社を合計した割合よりも多く米国Eコマース市場全体を占めている」)
出典:Euromonitor International Limited 2022/Coresight Research

図6は、上述したEコマースプラットフォームの比較を一覧にしたものです。

図6. 米国と中国の主なEコマースプラットフォーム比較

*TaobaoおよびTmallを運営するAlibabaグループは個別のGMVを公開していないため、TaobaoおよびTmallのGMVは推定値
出典:各企業レポート/Coresight Research
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文=RxR Innovation Initiative

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