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2022.11.25

米中Eコマース最新事情 リスクの少ないバーチャルインフルエンサーも活躍

Getty Images

特に米国で顕著だったパンデミックによるEコマースの加速的な成長は、ほぼ終わったようにみられます。それでも、Eコマースは依然として大きなビジネスチャンスであり、特に小売業の中心がEコマースプラットフォームである中国では、今後5年間でデジタル化の浸透が進むことが予想されます。

本稿では、中国と米国のEコマース市場の規模およびその推移について、主要な市場要因、競争環境、小売イノベーター、当社が注目しているテーマなどを中心に取り上げながら説明します。

市場規模と機会


米国


2021年の米国オンライン小売売上高は8967億ドルでした。これは、前年比16.9%増で、小売売上高全体の19.9%を占めました。そして、2022年のオンライン小売売上高は、図1に示すように、約10.7%増の9931億ドルとなり、総売上高の21.2%を占めると予測しています。この成長は、消費者の店舗回帰を反映していますが、高インフレにより一部が相殺されるとみています。

図1. 米国オンライン小売売上高(外食除く)
(左軸:10億ドル、前年比/右軸:小売売上高全体に占める割合)

(図内の訳、コメント「パンデミックにより加速的な成長をみせた米国のEコマース市場は、今後5年間は減速する見込み」)
出典:米国国勢調査局/Coresight Research

主なカテゴリー

パンデミックの間、すべてのカテゴリーで、オンライン売上が占める割合が大きく伸びました。中でも、米国のオンライン小売市場で売上高が最も大きかったカテゴリーは、アパレル、フットウェア、アクセサリー、家電、食品・飲料、家庭用品・家具、メディア商品です。

アパレル、フットウェア、アクセサリーは、米国オンライン売上高で最も大きい割合を占め、2021年のEコマース売上高全体の16.0%、1433億ドルだったと当社では推定しています。同カテゴリーは、パンデミックの間に力強い成長を見せ、2019年の14.1%から2020年には前年比25%増となりました。

しかし、2021年には消費者が店舗での買い物に戻った影響から、前年比20%増と落ち込みました。2022年以降のアパレルおよびフットウェアのEコマース市場の見込みとしては、消費者がパンデミックによるオンラインショッピング習慣を少なくともある程度は維持するとみられ、同カテゴリーがオムニチャネルサービスを採用することによって、売上が伸びると予想しています。

しかし、インフレ率の上昇、マクロ経済の不確実性、消費者の体験型店舗への需要、そして、同カテゴリーでは、オンラインでは試着ができないという利点があるため、成長は相殺されるとみています。

売上高では最大のカテゴリーではないものの、家電製品はオンライン売上の割合が店頭売上の割合を上回る唯一のカテゴリーでした。Euromonitor Internationalのデータに基づいたCoresight Researchの推定では、同カテゴリーのEコマース売上は2019年の45.9%から2020年には66.8%に急増しています。
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文=RxR Innovation Initiative

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