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2022.10.20 08:30

米国コンビニ市場が好調、その理由は?


都市化の進展と小世帯化


世界的にも米国においても、都市化の流れはコンビニエンスストア市場の成長を支えています。人口密度の高い地域の消費者は、コンビニエンスストアという業態を強く受け入れています。都市部の消費者は、他の地域の消費者よりも頻繁に買い物をし、一度に購入する商品数は少なく、移動時間が短く、小さな店舗を好む傾向にあります。

また、少人数世帯の増加もコンビニエンスストア市場の追い風になっています。一人暮らしや二人暮らしの世帯が増えることで、まとめ買いをせず、少量ずつ高い頻度で購入する傾向となり、これが今後のコンビニエンスストアの売上増を支えることになる可能性があります。

図4. 米国都市人口比率(上)、単身・二人世帯比率(下)(総世帯に占める割合)


(図内の訳、コメント「都市化と少人数世帯の増加傾向がコンビニエンスストア市場の成長を支えている」)
出典:米国国勢調査局/Worldbank.org

ガソリン価格のインフレ


2021年5月以降、インフレ率は、エネルギー、燃料、食料など、家庭で必要なカテゴリーの全体的な値上げによって、40年ぶりの高水準となっています。具体的には、ロシアのウクライナ侵攻がガソリン価格の上昇を深刻化させており、米国エネルギー情報局によると、2022年2月の開戦以来、米国における1ガロンあたりの平均ガソリン価格は29.3%上昇しました。

全米コンビニエンスストア協会(National Association of Convenience Stores=NACS)によると、2021年12月現在、米国のコンビニエンスストアの78.8%が自動車ガソリンを販売しているといいます。そのため、ガソリン価格の高騰は、コンビニエンスストアの売上を押し上げる可能性はあるものの、ガソリンスタンドへの来店者数の減少を促し、店内の混雑や売上に影響を与える可能性もあります。

一方で、消費者の一部は、近場での買い物を求めるようになり、都心部の独立店舗を頻繁に利用する可能性もでてくると思われます。

図5. 米国消費者物価上昇率:エネルギー、ガソリン、燃料油(前年比)


出典:米国労働統計局

競合状況


米国のコンビニエンスストア市場は、単一店舗や小規模チェーンが多数を占めているため、細分化されています。しかし、ユーロモニター・インターナショナルによると、同市場における多くの大手企業は、2019年に対して2021年に市場シェアを伸ばしています(図6参照)。

また、近年、統合石油会社が石油探査や生産に集中するために小売事業から徐々に撤退する中で、コンビニエンスストアを売却することで大手チェーンが利益を得ています。このため、大手各社はスケールメリットを生かし、比較的容易に新地域に進出できるようになっています。
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文=RxR Innovation Initiative

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