今回のMarket Outlookでは、米国のコンビニエンスストア市場の規模や動向、成長に影響を与える主な要因を検証しています。また、市場全体の競合状況と、2022年以降に注目すべき3つのテーマについても解説しています。
市場パフォーマンスと展望
米国のコンビニエンス市場は、2020年に始まったパンデミックにより複雑な状況に直面し、消費者動向は1年を通して変化しています。多くの消費者は、日常的なニーズをEコマースで満たし、買い物をまとめて行える大型の「ワンストップ」小売店を利用するようになりました。また、通勤時間の減少も、外出先での買い物に変化をもたらしました。
しかし、パンデミック時に自宅から遠く離れられない消費者にとってコンビニエンスストアは重要な買い物先となり、また、自宅での消費拡大傾向の恩恵を受けて、回復力の強さを証明しました。
IRIによると、厳しい状況にもかかわらず、米国のコンビニエンスストア市場は4.6%成長し、2020年の売上高は1666億ドル(ガソリン除く)に達しました。
同市場は2021年も成長を続け、前年比6.5%増を記録しましたが、これは消費者の行動制限が緩和され、店舗に戻るようになったことが主な要因だと思われます。
・タバコの売上は、非食品全体の92.3%を占めている。
・食品分野では、ノンアルコール飲料が好調で、前年比12.8%増となった。
2022年には、主にインフレとオフィスへの回帰が利便性の需要を押し上げ、6.2%成長すると予想しています。しかし、ガソリン価格の上昇は、店頭のトラフィックへある程度マイナスの影響を与え、店舗へのコンバージョン率を押し下げると思われます。食料品店や量販店からの持続的な圧力と、オンラインショップとの新たな競争により、今後4年間のコンビニエンスストア市場の売上成長は、鈍化すると思われるものの、プラス成長を維持すると予想しています。
図1. 米国のコンビニエンスストア:総売上高(左軸:10億ドル)および前年比(右軸:%)
※燃料費とオンライン販売分を除く
出典:IRI POSデータ/Coresight Research
米国のコンビニエンスストア部門はタバコの販売に大きく依存しており、図2に示すように、2021年と2022年の1年間(2022年6月12日現在)のコンビニエンスストアで販売された商品のトップ10のうち、4品目がタバコ関連商品でした。売上トップはタバコで、2位のビール/エール/アルコールサイダーの2倍以上の売上を記録しています。
しかし、タバコは2021年がほぼ横ばい、2022年通年では減少しており、今後も健康への配慮、価格の上昇、厳しい規制が喫煙を抑止すると思われるため、今後数年間で売上は減少することが予想されます。