こうした流れの中、7-Elevenは2021年5月、コンビニエンスストアとガソリンスタンドを運営するSpeedway(Marathon Petroleum所有)を210億ドルで買収しました。この買収により、同社は米国で最も人口の多い50都市圏のうち47都市に進出し、北米の総店舗数は約1万4000店舗となりました。
図6. 米国コンビニエンスストア:市場シェア内訳(%)
出典:Euromonitor International Limited 2022 © All rights reserved
店舗ネットワーク
前述したように、米国のコンビニエンスストア市場では、統合が進んでいます。パンデミック以前から、競争の激化や営業コストの上昇により、中小規模の事業者は市場からの撤退や大手企業による買収を余儀なくされていましたが、パンデミックによる厳しい経営環境は、それを加速させました。事業拡大の機会を模索している大手チェーンは、取引に多額の投資を行い、中小の事業者も買収に積極的な姿勢で応じています。
例えば、Alimentation Couche-Tardは、買収による規模の拡大を成長戦略の重要な要素と位置づけており、買収は価値を創造するものであり、必ずしも収益性を伴う店舗数の増加を優先させるものではないとしています。
図7に示すように、米国の主要なコンビニエンスストア事業者は、2019年から2022年にかけて純店舗数を増加させていることがわかります。
図7. 米国大手コンビニエンスストア事業者の店舗数推移
出典:ChainXY
注目すべきテーマ
食料品カテゴリーでは、プライベートブランドの成長率が有名ブランドを上回る
IRIによると、米国のコンビニエンスストア市場においては、過去4回の13週間のプライベートブランドの売上成長率は、有名食品ブランドの成長率を上回っています。また、食料品以外のカテゴリーでは、インフレ率の高さが最近のプライベートブランド商品の伸びを抑えています。
図8. 米国のコンビニエンスストア:食品・非食品カテゴリー成長率(YoY %)
出典:IRI POSデータ
多くのコンビニエンスストアチェーンが、差別化と消費者ロイヤリティ向上のために、プライベートブランド商品の販売に乗り出しています。
・7-Elevenは、プライベートブランド商品の立ち上げと普及において、コンビニエンスストアのリーダー的存在です。同社は、「セブン-セレクト」と「24/7 Life by 7-Eleven」という2つのラインで1500種類のプライベートブランド商品を提供しています。2020年のプライベートブランドの売上高は10億ドルに達しました。