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2022.10.16

「ハンバーガーに合うのはペプシだ」 包み紙の中にペプシのロゴマークを発見?

「Better with Pepsi」より

その新聞広告や屋外広告では、マクドナルドの包装紙らしきものの一部にペプシのロゴマークが現れ、Better with Pepsi(ペプシと一緒の方が美味しいよ)と書かれている。バーガーキングとウェンディーズの包装紙バージョンもある。


Pepsi, Better with Pepsi, Alma DDB USA

この“ベター・ウィズ・ペプシ”キャンペーンは、6月にフランスで開催されたカンヌライオンズ2022で、アウトドア部門ゴールドなどを受賞した。カンヌライオンズとは、世界の広告界やマーケティング界で飛びぬけて大きな影響力を持つアワ−ドである。

このキャンペーンには、アメリカ3大ハンバーガーチェーンでは、お店に置いてあるのはコカコーラで、ペプシはなかなか入り込めないでいたという背景がある。そこで2021年夏のコーラシーズンを前に、ペプシが一種のゲリラ戦を仕掛けたのだ。

ペプシコーラとコカコーラは、アメリカで長年“コーラ戦争”とも呼ばれるシェア争いを繰り広げてきた。1980年代には一時期ペプシがコカコーラを抜き、1987年には当時のペプシ社長が執筆した書籍『コーラ戦争に勝った―ペプシ社長が明かすマーケティングのすべて』まで出版された。

筆者は、当時ペプシの広告コミュニケーションを担当した広告代理店BBDOニューヨークに、研修出向という形で数カ月滞在したことがあり、『コーラ戦争に勝った』も夢中になって読んだ記憶がある。しかし、その後コカコーラがシェアを奪還。ここ数十年間のペプシのシェアは30%~40%と、コカコーラに後れを取る状況が続いているという。

ハンバーガーとの相性をアピール


このキャンペーンでペプシがまずやったのは、第三者機関によるハンバーガーと飲み物の相性テストだ。飲み物のブランドを明かさない形で行われたその調査の結果では、ペプシを好む人が60%もいて、コカコーラを好む人より多かった。ペプシ側は、この事実をなんとかインパクトのある形で伝えたいと考えた。

そこで行われたのが、ベター・ウィズ・ペプシだ。アメリカにはナショナル・バーガー・デイ(5月28日)というのがあり、その日に合わせてマクドナルド、バーガーキング、ウェンディーズの3社の包装紙の中に、ペプシのロゴマークを発見してベター・ウィズ・ペプシ(ペプシと一緒の方が美味しいよ)とメッセージする新聞広告と屋外広告を掲出した。


「Better with Pepsi」より

屋外広告は3社の店舗近くに掲出され、訪れるユーザーの目を引いた。確かに例えばマクドナルドを訪れた時に、すぐ近くの屋外広告で、包装紙の中にペプシのロゴマークがありベター・ウィズ・ペプシ(ペプシと一緒の方が美味しいよ)と訴えられたら、かなり気になる。

この“隠されていた”ペプシのロゴマークを発見し美しく表現するためには、オリガミ・アーティストが起用され、大掛かりな撮影が行われた。
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文=佐藤達郎

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