本記事では、5Gがいかにメタバースを強化するかを探り、そのメリットと基盤技術について考察しています。また、ブランドや小売業者が5Gについて知っておくべきことについても説明していきます。
2032年までにデータ利用量が20倍に
5Gは第5世代の携帯電話ネットワークであり、これまでの4G、3G、2Gの後継となります。通信会社のEricssonによると、サービスプロバイダー各社は2019年に5Gの世界展開を開始し、2027年には世界人口の75%をカバーするネットワークになるといいます。
ユーザーを何時間も夢中にさせるような、真に没入感のあるARやVR体験には、極めて高速で低レイテンシのネットワークが必要です。5Gが普及すれば、メタバースユーザーは、Wi-Fi環境以外の場所でも、スマートフォンを通じて、いつでもどこからでも仮想世界や体験にシームレスに接続できるようになります。
Wi-Fiも強力な没入感をもたらすことが可能ですが、データ転送速度の遅さや混雑に悩まされることがあります。モバイルネットワーク分析会社のOpen Signalの分析によると、5Gを推進するいくつかの国では、5Gは標準的なWi-Fiよりも高速であることが証明されており、また、5Gタワーは有線接続に匹敵するデータ転送速度を提供することができる上に、より短時間で設置が可能です。
5Gは、これまでの携帯電話ネットワークよりもはるかに優れており、ブランドや小売業者は、信頼性の高い高速接続により、高品質なビジュアルを実現し、アクセスしやすい仮想ショッピング体験を消費者に提供することが可能になります。これにより、ユーザーのメタバースでの滞在時間は増加し、インタラクション、ロイヤルティ、ブランドによる没入型の共有コミュニティの構築機会が改善されることが期待されます。
Credit Suisseによると、メタバースと仮想世界の利用は、2032年までに世界のデータ利用量を20倍に押し上げるといい、5Gの接続速度は、こうしたデータ利用量の増加をサポートします。5Gの契約数、つまりメタバースに容易にアクセスできるユーザー数はすでに急速に増加しており、Ericssonは、2025年までにその数は合計30億人近くになるとしています(図1参照)。
図1. 世界の5G契約数の推定値(百万人)
図内のコメント訳:5Gの拡大はメタバースへの容易なアクセスを世界中で増加させるでしょう」/ 出典:Ericsson