5Gについて、小売業者が知っておくべきこと


開発者もヘッドセットの改良に積極的に投資しており、5Gネットワークに接続するためのハードウェア(QualcommのSnapdragonチップセットやSamsungのExynosチップセットなど)を取り入れています。これらの5Gを可能にするチップによって、ヘッドセットはビジュアルを作成したり、プラットフォームに接続するために、Wi-Fiを必要としないスタンドアロンのシステムに生まれ変わることができます。また、NrealやHTC Viveなどのその他の開発企業も、リアルタイム体験のための軽量のARグラスの設計に取り組んでいます。

・リアルタイム体験の強化

現在、メタバースの最も一般的な認識としては、DecentralandやThe Sandboxのようなゲームエンジンを搭載した完全没入型の仮想体験を指すでしょう。

しかし、スマートセンサーで5Gネットワークに接続することで、現実世界の場所や物体をバーチャルで完全な形で複製し、実店舗や場所に関するデータをリアルタイムで取得ができるという側面もあります。デジタルツインと呼ばれる5Gセンサーを搭載した対象物は、仮想環境において細部まで完璧に再現され、メタバースと実際の世界を強力にリンクさせることができます。これにより、例えば、遠くに住む消費者は自宅にいながら人気の旗艦店を体験することができます。

この2つのメタバースは、理論的には相互に運用が可能であり、消費者は暗号ウォレットと結びついた仮想アイデンティティの重要な要素をプラットフォーム間で持ち運ぶことも可能です。

NVIDIAによるオムニバースやマターポートなど、いくつかの大手テクノロジー企業は、すでに消費者向けに実店舗のバーチャル版を構築し始めています。5Gデジタルツインを活用することで、小売業者は実店舗をリアルタイムで再現し、顧客基盤を拡大するとともに、AR要素を加えてショッピング体験を向上させることが可能です。

2020年12月にマターポートが実施した調査によると、米国の消費者の74%が、3Dバーチャル店舗は従来の店舗よりも刺激的な体験になると考えており、このことからも、これら分野の可能性は大きなチャンスとなることが分かります。既にオムニバースとマターポートは、BMWグループ、Kroger、NIKE、PepsiCoなど、異なる分野で事業を展開する様々なブランドで活用されています。


5GデジタルツインでミラノのNIKEストアをバーチャル3D化したもの / 出典:Matterport
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文=RxR Innovation Initiative

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