本レポートでは、米国のホームフィットネス市場とその展望について分析しています。
近年、健康増進や体力維持に対する消費者の関心が高まっています。パンデミックによるジムの閉鎖や、家庭用フィットネス技術・機器の進歩や利便性により、消費者が運動する場所は、大きく変化しました。
消費者のフィットネス行動は、小売業者やブランドからの消費者の支出期待に、以下のような影響を及ぼしています。
・パンデミックによるジムの閉鎖や在宅勤務が増えたことにより、ホームフィットネスジムを選択する消費者が大幅に増えました。しかし、最近では、人々が外出を求めているため、2019年よりも高い水準でジムに戻ってきています。
・消費者の健康への関心はますます高まっており、これがホームフィットネス分野、特にフィットネス用ウェアラブルとアプリの市場における最大の成長機会となっています。
・NIKEやLululemonの報告によると、アプリやコネクテッドフィットネスを通じてブランドや小売業者とワークアウトする消費者は、平均的な消費者よりも多くのアパレルを購入しています。
米国のホームフィットネス市場
図1に示すように、家庭用フィットネス市場の総支出は、2021年に前年比18.6%増、2020年に同16.8%増と2年連続で好調に推移し、2022年には2.4%増になると推計しています。2020年から2021年にかけて消費額が大きく伸びた理由としては、パンデミックによりフィットネス施設が閉鎖されたため、消費者が自宅用の機器を購入したためとみています。
図1. 米国ホームフィットネス市場(10億米ドル)
出典:Statista/Coresight Research
フィットネス機器の売上は、2020年に27.0%増加し、2021年はやや緩やかになったものの、前年比16.8%増と高水準でした。2022年のフィットネス機器売上は8.1%減少すると予測しています。
消費者は運動や健康を追跡、モニタリングするためにウェアラブルやスマートウォッチを購入しています。StatistaのConsumer Fitness調査によると、2021年11月時点で米国の消費者の39%がフィットネスウェアラブルを所有しています。スマートウォッチやヘルストラッキング技術の進歩、運動や健康のトラッキングに対する消費者の関心により、ウェアラブルは2022年に10.8%の高い成長を見せると予想しています。
1. 消費者は2019年のレベルを上回る勢いでフィットネス施設に戻ってきている
パンデミックの際、フィットネスセンターやスタジオは何カ月も閉鎖され、大きな打撃を受けました。国際健康・ラケット・スポーツクラブ協会(IHRSA)は、2021年12月31日の時点で、米国の全フィットネスセンターの25%がパンデミック中に閉店したと報告しています。
フィットネスセンターが長期間閉鎖され、消費者が会員権を一時解約したため、米国のフィットネス業界は2020年に202億ドルの収益を失いました。しかし、その間、フィットネスセンターはオンラインやオンデマンドのサービスに投資し、消費者にバーチャルな自宅でのワークアウトを提供しました。そして、消費者が対面式のワークアウトに戻るにつれ、多くの人が自宅とフィットネス施設の両方を利用するハイブリッド型が選択されるようになっています。