メタバースにおける5Gのメリット
世界のメタバースエコシステムは、3つの重要な点において5Gの恩恵を受けると考えています。
1.アクセスの簡略化:データ転送速度の向上と衛星の利用により、Wi-Fi環境下以外でも、どこにいても接続しアクセスできるようになり、メタバースユーザー数の増加につながります。
2.リアルタイム体験の強化:5Gデジタルツインにより、開発者は実際の場所を完全に詳細に再現し、AR体験を強化することができます。低レイテンシと高速データレートは、ARやVR体験において、よりパワフルなビジュアルをサポートします。
3.グローバルなデータ利用量の増加に対応:今後10年間でデータ使用量の急増が見込まれる中、5Gは膨大なエネルギー消費に対応することも可能です。
以下、それぞれのメリットについて詳しく説明します。
・アクセスの簡略化
本レポートの冒頭でも述べたように、世界中で5Gの普及が進むにつれて、より多くの消費者がメタバースにアクセスできるようになるでしょう。
これまでは、真に没入感のあるバーチャル体験をするためには、Wi-Fi環境にあるコンピュータ、ノートパソコン、ゲーム機などに接続する必要があり、最初のハードルや障壁が多く、時間がかかる作業でした。High Speed Internetによると、5Gのデータ転送速度は最大20000Mbps(メガビット/秒)で、米国でのWi-Fiの平均速度である42.86Mbpsよりも高速です。これにより、ユーザーはいつでもどこでも簡単にカプセルに入ったような没入感を味わうことができるようになります。メタバースへのアクセスが容易になることで、新たなユーザーの仮想世界を探求する機会が増えるでしょう。
中国やインドのような人口の多い国は、メタバースへの参入を目指すブランドや小売業者にとって大きな市場です。5Gタワーの設置ごとに潜在的なバーチャル顧客は大きく増え、理論上は国に関係なくブランドにアクセスすることが可能になります。
さらには、世の中とのつながりに苦労している地方に5G技術を導入することで、新たな顧客基盤が生まれるでしょう。
5Gの通信距離は1マイル未満に制限されていますが、地方にある5Gネットワークは、低帯域の無線信号を使用することで、数マイル離れたタワーに接続することが可能です。このような地方のネットワークは、5Gタワーが至る所にある都市部のネットワークほど高速ではありませんが、それでも遠隔地のコミュニティにこれまでより高速なデータ転送速度をもたらします。また、5G技術では、衛星も利用され、空や海を通じて携帯電話の普及率が低い遠隔地までネットワークを拡張し、一般的な接続性を向上させることが可能です。