なぜ中学受験するの? 「面倒見がいい学校」って何?

中学受験のカリスマ、おおたとしまさと、私立中学の試験問題頻出作家、朝比奈あすか。ともに、今秋、中学受験をテーマとした本を刊行。ノンフィクションと小説、ジャンルは違えども、テーマは、今もっとも熱い「チュウジュ」。互いの作品内容に切り込んだお話と、それぞれの「中学受験」への思い、問題点、親子のあり方など、熱く語り合った。


おおた 僕はよく「中学受験のメリット、デメリットを教えてください」と言われるのですが、『なぜ中学受験するのか?』はその質問に対する僕なりの答えです。何をメリット、デメリットと感じるかは人それぞれ違いますから、「あなたは中学受験にどんな価値を見出しますか?」と問いかけるつもりで書きました。読者が自身の教育観や幸福感、人生観を問い直すきっかけになればと思っています。

朝比奈 私も『なぜ中学受験するのか?』は、単純な中学受験の指南書というより、人がよく生きるためにはどうしたらいいかについて書かれた本だと思いました。

おおた 今まさに中学受験の渦中にある親が知りたいのは、どうすれば子どもの偏差値が上がるのか、かもしれません。だけど親がそれだけを考えてもうまくいくことは少ない。むしろ子どもが壊れてしまうこともあります。そんな時は「なぜ中学受験するのか?」に立ち戻って考えれば、全然違う景色が見えてくると思います。


朝比奈あすかさん

朝比奈 私も子どもが中学受験の真っ只中にいた時はあまりに真剣になりすぎて、毎日すごく緊張しながら過ごしていました。この先どうなるのかと不安で、愚かしいこともたくさんしていたんです。それから8年が経ち、ようやく自分自身の言動やママ友との会話などを振り返ることができました。やっと中学受験を客観視できるようになったから『翼の翼』が書けたんです。

おおた 中学受験は、親自身が人生を考えるきっかけにもなりますね。そのきっかけを子どもがくれるんです。『翼の翼』を読めば、そのことにも気づくと思います。僕はこの小説を読んだことで、『なぜ中学受験するのか?』では、あえて心情的な部分を排除して、中学受験の仕組みやその背景にあるものを解説することに徹したんです。やはり心情的な部分は、小説のほうが伝わるということが『翼の翼』を読んでよくわかりました。
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司会・構成/今泉愛子

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