キャリア・教育

2022.05.14 11:00

なぜ中学受験するの? 「面倒見がいい学校」って何?

石井節子
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朝比奈 父親が偏差値にすごくとらわれてしまう例は私もよく耳にするのですが、それが自身のコンプレックスからくるのか、成功体験からくるのか、いろいろなパターンがあるでしょうね。

おおた 自分が勝ち組できた人は、その勝ち方しか知らないので、有名大学を出ないでどうやって生きていくのかわからない人が多いんです。

朝比奈 自分の子どもがそれ以外の生き方をするのが怖くなってしまう。進学実績は学校の要素のひとつに過ぎないのに、そこに注目してしまう。偏差値にしても1ポイントでも上の学校がいい学校だと思ってしまうんです。中学受験界では偏差値の高い男子校の開成、麻布、武蔵の三校を“御三家”と呼んで特別扱いしていますし、同様に桜蔭、女子学院、雙葉を“女子御三家”と呼ぶこともあります。親たちに偏差値の高い学校に行くのがいいことと刷り込んで、校風や子どもの個性を観察して学校を選ぶ力を損なわせていると感じます。親の姿勢がどれだけ子どもにダメージを与えるか……。中学受験を経験することで、自己肯定感が低くなったり、常に人と比べてしまったりするようになってしまうこともあります。

おおた 自分は勝ち組だと思っている人も意外と自己肯定感が低かったりします。

朝比奈 すぐに学歴でマウントを取りたがるのも悲しいかもしれません。だから子どもとどう接するかはとても大切で、それが将来につながり、さらにいい社会、いい未来につながるのだと思いました。ただ最近は、志望校を偏差値で決めるのではなく、多様な観点から選ぼうとする人が増えているようにも感じます。塾の先生もそういう考えの人が増えています。


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おおた 塾にもよるでしょうね。経営側から合格実績を求められることもあるようです。教室の合格実績が給料に反映するところもあります。

朝比奈 それで難関校を無理やり勧めたりすることがあるんですね。

おおた 塾の先生も多くの人はサラリーマンですから、組織の理屈にのまれてしまう。

朝比奈 その弊害が子どものところにいくのは絶対によくないですね。
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司会・構成/今泉愛子

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