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2021.07.14 08:00

【公開】幹部1000人のプレゼンを変えた「世界最高のスピーチコーチング」


プレゼンは「対話」


岡本:さらに、「みなさん、ドラマにもなった『ゴシップガール』はご存じですか?」などと、聴く人たちにボールを投げられたら最高ですね。そこで、「知ってる」と反応してくれる人がちらほらいたりするとコミュニケーションが取れて、こちら側のテンションも上がります。

いつも言っているのは、「プレゼンは対話だ」ということ。そして、プレゼンを世界最高レベルに仕立てるには、聴いている人の頭の中に「絵」を描くように話すことが重要なのです。

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岡本氏の著書『世界最高の話し方──1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた! 「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』(東洋経済新報社)

鹿田さんの例でいえば、「70冊の世界の本を訳した」だと、70冊の本が積み上がっているのが遠景でぼんやりと見える。でも、そのタイトルまでは読み取れない。積み上げたなかから、訳したのはこの本、そしてこの本、と1冊ずつ「表紙」までを見せていくことで、聴き手の脳内でようやく画像が結ばれるのです。

ただ「花」、と言われても、辞書の「は」の項目に黒い活字で刷られた「花」の文字しか浮かびません。たとえば「白い百合」と言われてはじめて、画像化しますよね。

それでは、今回のプレゼンの主旨であるご自著の内容について、今度は「多くの人の前でプレゼンをすること」を意識して、説明していただけますか。

鹿田:はい。本のタイトルは『「自宅だけ」でここまでできる「子ども英語」超自習法』です。お金をかけない、留学しない、自分の家でできる、子どものための最強の英語学習術でありながら、ついでに親の英語力も上がる。そういうテクニックを81通りに分けて書いています。いわば、「究極のシンプル自宅英語学習術」を公開した本であり、このメソッドを使って、世界でも活躍できる英語力をわが子に培おう、わが子のグローバルドリームも実現させてしまおう、という本なのです。

岡本:プレゼンのコンテンツは十分におもしろいと思います。ただ、それをもっと「おもしろそうに」言う必要があります。本人が「これはぜったいにおもしろい!」という自信を前面に押し出すこと。

それには、いまおっしゃった「究極の」という部分に、渾身の気合いを入れることが重要。強調することなく淡々と言うのではダメなのです。

プレゼンでは、ふだんとは違う「ペルソナ」になることが必要です。いつもの「謙虚で奥ゆかしい鹿田昌美」は脱ぎ捨てて、「英語教育のカリスマ」になりきらなければならない。先生が学校で授業するようなトーンではなく、もっと自分を前に出す話し方を心がけてください。

重要なのは「盛り」と「映え」と「ノリ」


鹿田:先生、私はいかんせん翻訳者で、「黒子」なんです。その黒子の衣装を、果たして脱ぎ捨てられるものでしょうか。

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翻訳者は「黒子」である(cowardlion/Shutterstock.com)

岡本:ご心配なく、必ず脱げます。英語になるととつぜん「盛れる」人っていますよね。もしかすると鹿田さんも、英語を話す時、別のペルソナになりませんか? なるなら、そのペルソナを引っ張り出してかぶるといい。

あるいは、誰か思い浮かぶ人はいませんか? 鹿田さんにとってのロールモデル、カリスマ教育者。

鹿田:そうですね、『ドラゴン桜』の桜木建二先生ですかね。

岡本:それではぜひ、女・桜木先生になってください。私も家庭教師なのでいわば「黒子」ですが、自分で話さなければならないときは「別のキャラ」スイッチを押します。キャラは使いわけたほうがいい。黒子としての鹿田さんと、児童英語教育のカリスマとしての「女・桜木先生」と。
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構成=石井節子 写真=曽川拓哉

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