経営者の方たちにはいつも、日本人に足りないのは「映え」と「ノリ」と「盛り」の3つ、と申し上げています。
「映え」は、聴衆への映り方を実際よりも鮮やかに見せる技術、「ノリ」はいわばDJみたいなリズム感や楽しさ、そして「盛り」は自分を大きく見せる意識、です。「本日はー、英語学習法についてー、お話ししますー」ではなく、聴いていてテンションの上がる話にするためには、映えて、ノって、盛る。いつもの自分からはみ出さなければならないのです。
「世界最高」ではエネルギーがモノをいう
岡本:では、ご自著のキャッチフレーズを言ってみてください。
鹿田:「究極のシンプル自宅英語学習術」です。
岡本:もっと「究極の」に思いを乗せてみましょうか。「究極の!、シンプル自宅英語学習術」という感じで。キーフレーズを言うときは、あくまでもフラットにならないように、どこに読点をおくか、イントネーションの高みをどこに持っていくかが重要です。「究極の」なのか「シンプル」なのか「自宅」なのか。
日本人はとにかく話し方がフラットです。ある自動車会社の社長が苦虫を噛み潰したような表情で「走る喜び」とプレゼンされていて、苦笑してしまいましたが、「喜び」を語るなら、その感情がほとばしり出るような表情と語調でないといけませんよね。
「究極」は、英語で言うと「ultimate(アルティメット)」、最高級の形容詞です。「みなさんにもかならずできる! 究極の‼」、という具合に、自分が一番「これは最高なんだ!」というノリに突き動かされて発語しないと伝わりません。
鹿田:ずいぶん印象が違いますね。目もキラキラとして、「最高感」が先生の表情からも伝わりました。
岡本:コミュニケーションで何が大切かといえば、「エネルギー」なんです。人を動かそうとする時は、自分がまず先に前に出る。モノを動かすときに力を込めるように、体内で熱を燃やしてエネルギーを高める。
ロジカルに、冷静に伝えるのも大事ですが、エバンジェリストとしては、「熱を燃やす」ことがなによりも重要なんです。一生懸命話している姿に、聴く人は惹かれるものなのです。
世界最高の「ハンバーガー理論」
岡本:拙著『世界最高の話し方』に、以下のような一節があります。
「コンビニに行って、次の3つのパッケージ名称、つまり── 1. 野菜スープ、2. ゴロゴロ根菜の旨味ポトフ、3. 皮をむいたじゃがいも、人参、れんこんを一口大に切って、細切りにしてベーコンといっしょに水から3時間煮込んで、塩コショウとコンソメで味付けしたスープ── の商品があったらどれを選ぶか」
一般には、2.と答えますよね。これは12文字ですが、13文字程度が一番、人の目や気持ちに認識されやすいんです。吉野家のキャッチコピー「うまい、やすい、はやい」や、ニトリの「お、ねだん以上。ニトリ」もそうですね。
これが「キャッチコピーは13文字」ルールです。鹿田さんのご本のキャッチコピー「究極のシンプル自宅英語学習術」もまさに、14文字。いいですね。
それから、私の世界最高の話し方にはもうひとつ鉄則があります。それは、「ハンバーガー理論」です。バンズという結論に中味を挟み込んでいくという話し方です。鹿田さん、「究極のシンプル自宅英語学習術」がバンズとすると、フィリング(具材)であるレタスとお肉とトマトは何になりますか?
鹿田:レタスは「実は、子どもの英語学習に最適な場所は自宅だった」。お肉は「英語はリスニングが9割」、トマトは「親は教えない。子どもを見守るだけ」ですね。