ビジネス

2021.07.14

【公開】幹部1000人のプレゼンを変えた「世界最高のスピーチコーチング」

エグゼクティブ・スピーチコーチ/コミュニケーション・ストラテジスト岡本純子氏


さあ、立ち上がって「実技演習」


岡本:では、実際にプレゼンの入り方を練習してみましょうか。

大切なのは、「ご紹介にあずかりました鹿田昌美です」「今日はお忙しい中、お越しいただいてありがとうございました」といった挨拶から入るのではダメ、ということです。

だいたいの人がこれをやってしまいますが、もう紹介はされているから名前は不要。また、お礼はむしろ最後、降壇する時でいいと思います。では、始めてください。

鹿田:今日は、「究極の!、シンプル自宅英語学習術」についてお話をしたいと思います。ご自宅で、がんばらせず、親が教えず、お金もかけずに英語力がアップする方法をお教えします。

岡本:ノリノリでいいですね。「と思います」はなるべくカットしましょう。「お話します」で十分。立つときは鳥居のようにしっかりと左右のバランスよく立つ。時折、聴衆の方に歩み寄るなど、動きをつけるといいですね」。

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スポットライトは「伝える相手」に当たっている


岡本:また、話し方のコツとしては、読み上げるのではなく、「会話調で」が大切です。繰り返しになりますが、「プレゼンは対話」。キャッチボールですから、投げたボールは、投げ返してもらわなければなりません。

語尾を常に「です」「ます」で言い切るのではなく、時々「?」にする。「〜ことをご存じですか?」「〜こともありますよね?」などと、「か」と「ね」で終わらせる。これは、「ジャパネットたかた」の高田明氏や、ジャーナリストの池上彰氏も用いている方法、私は「二人のあきらの法則」と呼んでいます。

一方的にマウンド上でボールを投げ続ける孤独なピッチャーにならず、「キャッチャーに返してもらう」には、時折、疑問形を使うのが一番です。

経営者、リーダー層の方々にも同じことをお伝えしています。なぜなら、今は求められるリーダー像が、上から一方的に支配・指示する「教官型」から、従業員と同じ目線にたち、その力を引き出す「共感型」へと変わってきているからです。「相手が受け止めやすい球」を投げて、ゆるくキャッチボールを受けることこそが、コミュニケーションの理想形です。

鹿田さんも、リアルの会場で、物理的なキャッチボールができる環境の場合は、実際に問いかけをしてみる。「この中で、英語塾にお子さんを通わせている方、いらっしゃいますか?」といった具合です。「けっこういらっしゃいますね……。授業料はおいくらぐらいですか? かなり高いですよね?」というふうに、聴衆を「巻き込んでいく」。
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構成=石井節子 写真=曽川拓哉

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