しかもこの方程式を応用すれば、嫌な仕事だって楽しく変換することが可能だ。苦手なものと好きなもの、遠いものと近いもの、はたまた身近なもの同士など、あらゆる物事をかけ合わせてみよう。
誰だって好きなことを仕事にしたい。でも仕事をしていると、好きではないことをやらなくてはいけない瞬間も出てきます。きっとそんなとき、モチベーションが下がってしまう方も多いのではないのでしょうか。
「隣の芝生は青い」といいますが、関心のない仕事や、苦手な仕事が降ってきたときほど、好きなことが輝いて見えるもの。でも、ちょっとした工夫で、その「隣の芝」を仕事に生かせるとしたらどうでしょう?
僕は普段、会社員のかたわら「発明家」という肩書で活動しています。いままで世の中になかったものを生み出したいという想いで、「1日1つ発明する」という習慣を続け、今日まで1000個以上のアイデアをノートに書きとめつづけています。
最近では、点字と文字が一体になった書体『BrailleNeue(ブレイルノイエ)』という発明品が、渋谷区役所をはじめとしたさまざまな会社や施設に実装されました。しかし毎日考えていると、当然のようにアイデアは枯渇します。なので、ここ数年は自分の関心のないものや、苦手なものからアイデアを発想することも増え、日々四苦八苦しています。
「1日1発明」のノート。日々の発 明を、タイトル、手書きのスケッチ、 短い説明で簡単に記述する。
そんな試行錯誤のなかで、なんと、どんなものでも好きなアイデアに変えられる、ちょっとした法則を発見しました。
その名も『隣の芝を借りる法』。隣の芝が青いなら、それを借りてアイデアを考えればいいじゃない、という思考法です。実践方法は至って簡単。「○○みたいに、××を考える」というシンプルなフォーマットで、アイデアを考えるだけ。
○○にはあなたの好きなものを入れます。ゲーム、アイドル、スポーツ……なんでもありです。それがアイデアを考える視点になります。××には、商品、事業課題、日々の雑用……のように、あなたの向き合っている仕事や課題を入れましょう。あとは、その一文を見ながら、思いついたことを書いていくだけ。
例として「新しいせっけん」というお題でアイデアを考えてみましょう。もし、あなたがお酒好きなら、「お酒みたいに、せっけんを考える」なんてどうでしょうか。
例えばカクテルみたいに、成分や匂いを混ぜられる『せっけんバー』をつくったら、恋人の好みに調香してプレゼントにしたり、子どもが香りを混ぜて、面白がって手洗いをしてくれそうですよね。ほかにも、ワインみたいに熟成する『ビンテージせっけん』とか、年代によってラベルや香りが変わったりすると選ぶことが楽しくなりそう。
「書体のように、点字を考える」─ 点字と文字を組み合わせた 書体「Braille Neue」。
さあ、こんな感じで、あなたの「好き」から考えると、新しいアイデアが次々と生まれてきそうな予感がしませんか?