「人生100年時代」と言われるが、すでにそんな時代に突入しているのだ。
2030年には日本の総人口は1億1912万人に減少し、そのうち31.3%にあたる3715万人が高齢者になると予測されている。国内人口の3分の1が高齢者となれば、日本は世界で最も高齢化が進んだ社会になる。
「人生100年時代」に世の中はどう変わっているのだろうか。「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」の著者である英国リンダ・グラットン教授は、「寿命が今後伸びていくにあたって、国・組織・個人が今までの生き方の見直しを迫られ、新しい社会構造や価値観が生まれてくる」と示唆している。そのような社会構造の転換の中で、専門家が共通して指摘していることは、「長く生きるためには、長く働かなければならない」ということだ。
「LIFE SHIFT」の共著者で、経済学者のアンドリュー・スコット氏の試算によれば、100年の人生を生きるためには、人は少なくとも75歳から85歳まで働かなければならなくなる。
最近では、再雇用延長で65歳まで働ける会社も増えてはいるが、給与水準も下がり、やりがいのある仕事に恵まれることは少ないようだ。とはいえ、他の職を探そうとしても、従来型の「サラリーマン」として身につけたスキルだけでは、時代の変化についていけずうまくいかないことも多い。
「人生100年時代」にチャンスを広げるためには、20代、30代、40代と人生のステージが進むなかで、さまざまな業務をこなす能力「マルチスキル」を意識的に身につけていく必要がある。逆にいえば、60年間もの長い仕事人生を、たった一つのスキルだけでやっていくことは至難の業なのだ。
「マルチスキル」の大切さを意識したきっかけ
私は50歳を過ぎてから、会社を自分資本で起業して、自分のやりたい事業に注力する充実した日々を過ごしている。そのような生活が送れているのは、一つには私が今まで、意識的に「マルチスキル」を身につけてきたからだと自負している。